2021年6月4日、コロンボのコロンボ港の東ターミナルで荷卸し中のコンテナ船(Photo by ISHARA S. KODIKARA / AFP) (Photo by ISHARA S. KODIKARA/AFP via Getty Images)

インド周辺で港湾開発を進める中国 専門家、軍用転用の懸念指摘

中印両国は国境での紛争が続くなか、インド洋をめぐる対立も激化している。中国は8月、中国とミャンマーを結ぶ新しいルート「中緬新通路」(ヤンゴン-雲南省臨滄-四川省成都)のテスト輸送の成功を発表した。海運・道路、鉄道の連携輸送の実現はインドにとって新たな不安材料になりそうだ。

新ルートでは、貨物はシンガポールから海運でミャンマーのヤンゴン港に運ばれ、道路輸送で雲南・臨滄から中国に入り、鉄道で成都まで輸送された後、中国南西地域の各都市に届けられる。これによってシンガポール、ミャンマー、中国3カ国の物流ルートがつながり、海運・道路・鉄道の連携による輸送は中国南西地域からインド洋に通じる最も便利な陸海新ルートになる。

中国はインド洋沿岸での湾岸拠点に積極的にアプローチしている。昨年11月、ミャンマーチャウピュー港で深海港をつくり、さらに経済特区(SEZ)として開発すると両国は合意した。この大規模な開発計画は中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の一環である。

中国がチャウピュー港の運営権も取得することになれば、インド洋沿岸で支配する3つ目の港になる。パキスタンのグワダル港、スリランカのハンバントタ港はそれぞれ12年、17年に運営権を中国に譲渡した。

チャウピュー港は、中国が2017年、昆明(雲南省)までのパイプラインを稼働している。深海港が完成すれば、中国は欧米の影響が強いマラッカ海峡を経由せずインド洋にアクセスできるようになり、原油などの輸入が容易になる。

インドの主力シンクタンク「オブザーバー研究財団」のラジャゴパ主任は、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に「彼ら(中国)はインドにどんどん攻め寄ってきている(中略)。周辺国への影響力はますます強くなっている」と語った。

インド洋に面するスリランカ港湾都市コロンボで、総面積269ヘクタールの港再開発プロジェクトを受注した中国は最近、同国の新しい法律により港の実質的支配権を得たといわれた。インドから300キロしか離れていない。

今年はじめ、スリランカ政府は1200万米ドル(約13.2億円)の再生可能エネルギーのプロジェクトを中国企業に発注した。場所はスリランカ北部のジャフナ半島にあり、インドの海岸線から50キロ足らずと至近距離にある。

兄弟でもあるスリランカのゴタバヤラージャパクサ大統領とマヒンダラージャパクサ首相が19年、政権を取り戻した後、中国寄りの姿勢を見せている。スリランカで中国が請け負う大規模なインフラ建設は増え続け、その影響力はいっそう増している。

軍事専門家は、中国の「一帯一路」は民用プロジェクトだが、そのほとんどは軍事に転用可能だと指摘した。

インドのジンダルグローバル大学国際事務学院のチョリア院長は、「中国の狙いは公海を支配し、海洋強国になることだ」と強調した。

VOAの過去の報道によると、中国は60以上の国で港の建設に関わったり、投資したり、港の運営権をリースしている。米英の軍事専門家らは「港湾を管轄する中国は出兵することなく戦略的支配の立場を得られる」と懸念を抱いている。

(翻訳編集・叶子)