アマゾン、中国のアップルストアから聖書などのアプリを削除

アマゾンの書籍読み上げサービス「Audible(オーディブル)」は15日、中国本土のアップルストアから聖書とコーランのアプリを削除した。当局から「必要な許可」が得られていないことを理由に挙げた。中国政府による情報規制が一層強まっている。

AP通信によると、米国の聖書やコーランに関するアプリを開発する会社も、中国政府の要請によりストアから取り下げたことを認めた。

駐米中国大使館の劉鵬宇報道官は、特定のアプリの削除について具体的な回答は避けたが、中国政府は「インターネットの発展を常に奨励し、支持してきた」と述べ、「中国でのインターネットの発展は、中国の法律や規制にも従わなければならない」と付け加えた。

アップル社はコメントを控えている。

米国イスラム関係評議会は、企業は中国の宗教的迫害に正面から対処しなければならないと主張した。同会副代表エドワード・アーメッド・ミッチェル氏は「立ち向かわなければ、ファシスト大国の気まぐれさに従って次の世紀を過ごすことになる恐れがある」とAP通信の取材に述べた。

近年、中国共産党はオンラインにおける情報サービスの検閲を一層強めている。マイクロソフトは10月中旬、ビジネス向けソーシャルメディア、「LinkedIn(リンクトイン)」を今年後半に停止することを発表した。「中国での運営環境が著しく厳しくなり、コンプライアンス要件が高まっている」ためだという。

このほか、中国共産党は子供たちのオンラインゲームや外資系英語学習ソフトにも厳しい制限を設けた。米国で人気の語学学習アプリ「Duolingo(ドゥオリンゴ)」は今夏、アップルの中国ストアから姿を消した。

無神論である中国共産党による情報統制は、オンラインでもオフラインでも信仰の分野が最も厳しい。聖書の流通は制限されており、オンラインでも内容の閲覧が規制されている。イスラム信仰のウイグル人やチベット仏教のチベット人も弾圧され、経典なども焼却処分されている。1999年に弾圧政策が始まり学習者の拘束が続く法輪功に対しても、関連の情報の流通は停止している。

米国の国際宗教自由委員会(USCIRF)は2021年の年次報告書のなかで、中国政府によるキリスト教徒とウイグル人イスラム教徒、チベット仏教徒、法輪功学習者に対する人権侵害を記した。当局はAI機能を備えた監視機器を使って信仰者の活動を監視し、恣意的に拘束しているという。

(佐渡道世)