バイデン米大統領が副大統領時代に所持していた機密文書が最近、自宅や事務所から見つかった問題が波紋を広げている。トランプ前大統領私邸にも政府文書の保持によってFBIが捜査した前例もあり、米政府の文書管理姿勢が問われている。
米ホワイトハウスは14日、デラウェア州にあるバイデン氏の邸宅から機密文書が新たに6ページ見つかったと発表した。これ以前には、ワシントンのシンクタンク「ペン・バイデン・センター」の事務所で、最高機密指定の政府文書を含む10のファイルが発見されたと米CBSが報じている。
バイデン氏の特別法律顧問弁護士は、文書は速やかに司法省に提出しており、一連の機密文書発見にあたり任命した特別検察官の調査に全面協力する方針だと述べた。
共和党からは強い批判が起きている。米下院監視・政治改革委員会のジェームズ・コーマー委員長は、大統領主席補佐官に対して、邸宅の訪問者リストの公開を書簡で求めた。誰が機密文書にアクセスできたのかを、米国民は知るべきだとした。
ホワイトハウスはバイデン宅の訪問者リストは作成していないと15日、回答した。「過去数十年の大統領同様に個人宅は個人的のものだ」と述べた。
バイデン氏とトランプ氏 対応に温度差
法律家は、両件の取り扱いの差には納得いかないと述べる。
保守的な政府監視機関である国家法律政策センターのポール・カメナー弁護士は10日、「この事件が適切かつタイムリーに処理されたとは信じがたい」と、エポックタイムズの姉妹メディアであるNTDに語った。
バイデン氏の機密文書問題は昨年11月頃、つまり中間選挙期間に当局は認知していたが公表は2か月以上後となった。以来、トランプ氏のケースを対比する声が多く上がっている。
トランプ氏はフロリダ州の私邸に機密文書を保管していたとして、8月、FBIによる強制的な家宅捜査を受けた。のちに公開された捜査令状によると、司法省は「スパイ防止法」違反などの疑いでFBIに令状を出していた。
バイデン氏とトランプ氏の2つケースでは記録の数が異なるものの、法的な観点からは区別がない。共和党は、ホワイトハウスの法執行機関の扱いに対する二重基準を疑問視している。
1月10日バイデンは、文書の発見について「驚いた」と認知を否定した。いっぽうトランプ氏は12日のポッドキャストで「バイデン氏は知っていた」「その多くはウクライナと関係があったはずだ」と語っている。エポックタイムズは文書内容の確認は取れていない。
10ファイル分の政府文書は、ペンシルべニア大学の機関でワシントンのシンクタンク「ペン・バイデン・センター」の事務所で発見された。
同センターは中国からの巨額寄付を受け取っていることが公的記録からわかっている。2020年、倫理監視NPO・国家法律政策センター(NLPC)は同センターが過去3年間で7000万ドル以上を中国から受け取っていると指摘した。
カメナー氏は、「中国がペンシルバニア大学に拠出するのは音楽科のためではなく、バイデンセンターが進めるペンシルバニア大学と中国の国際関係のため」と指摘した。また、大統領の息子であるハンター・バイデンが、中国のエネルギー会社から報酬を受け取ったと言われていることにも言及した。
カメナー氏は、共和党が多数派を占める下院でバイデン文書のさらなる調査を望んでいる。「この機密文書に中国が絡んでいる文書があるかどうかは誰にもわからない。委員会による証人喚問の権利を行使する完全な調査が必要である」と述べた。
エポックタイムズは、ホワイトハウスにコメントを求めている。
(翻訳編集/大室誠・佐渡道世)
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