経済の悪化による社会不安が広がり、社会全体に殺伐とした雰囲気が漂う中国だ。
体制を安定させたい当局は、人民の反乱などの動きを事前に察知できる「密告文化」を奨励し、実際に「密告専門要員」まで雇っている。
最近、そんな「密告専門要員(中国語で「近鄰監督」あるいは「鄰家人」)」たちがオフィス内で集まっているところを撮影した写真がネットで拡散され、物議を醸した。
「近鄰監督」のメンバーたちの仕事は文字通り、身の回りの人たちの行動や思想信条を監視すること。もちろん、怪しい人物と判断すれば密告される。
同写真が撮影された福建省アモイ市では早2023年5月から同安区だけで307人の「密告専員」が雇われていることが中国メディアによって報じられた。
このような「密告文化奨励」の事態をめぐり、「近鄰監督と名前変えているがこれは『楓橋(ふうきょう)経験』だ」と指摘する声や文化大革命の再来を懸念する声が出ている。
「楓橋経験」とは、浙江省の農村が村民のみで反動分子を押さえ込んだ経験を指し、毛沢東の称賛を得たという大衆を組織し階級闘争を展開した「経験」である。いまでは治安維持の模範例として、中国共産党党首の習近平もこれの重要性について強調している。
「金欠政府はタダで使える手先が必要になったから『楓橋経験』を持ち出した」と一部学者から指摘されている。

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