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激変する中国 各地でストライキが多発、沈黙する政府に不満爆発

中国全土に広がる「給料未払いの炎」 怒れる労働者が続々と一斉行動へ【動画あり】

2025/05/01
更新: 2025/05/02

時はメーデー大型連休、中国の官製メディアでは「旅行活況」といった経済繁栄の「幻影」を宣伝し、めでたいニュースばかりを報じた。

 

しかし、現実の中国社会には、労働者の悲痛な叫びが満ちていた。

「アジアのヴェネツィア」と呼ばれることもある中国の著名観光地・烏鎮(うちん、浙江省嘉興市)。

4月28日からこの町では、1千人を超える「迪鵬光電科技股份有限公司」の従業員が未払い給与をめぐり大規模な抗議行動を展開した。

電気機械および器具製造業を主とする同企業は、3か月以上にわたり給与を支払っておらず、ついに爆発した労働者の怒りは一斉行動へと発展した。

「正当な給与を求めているだけだ」と憤りをあらわにした従業員たち。工場前や地元政府前で連日デモが行われたが、政府は事態の収拾に動かないどころか、一部参加者を拘束するなど強硬姿勢を示し、かえって不満を高める結果となった。

 

政府前で抗議する「迪鵬光電科技股份有限公司」の従業員を鎮圧する警察(スクリーンショット)

 

会社側は「供給業者から訴訟を起こされ、口座が凍結された」と弁明したが、裁判記録によれば未履行の債務はすでに1600万元(約3億円)を超えていた。

工場の財務危機は明白であり、「この工場はもう終わっている」と語る従業員もいる。しかし中国当局は、企業倒産を避けるため、事実上破綻状態の企業にも事業継続を強制しており、結果として労働者の犠牲が拡大したのだ。

烏鎮は「世界インターネット大会」の永久開催地として、世界にアピールした地である。2015年には中国共産党(中共)党首・習近平が「インターネットの成果を13億人に還元する」と誓った。しかし、現実には、情報統制と社会不安が広がる一方で、その「成果」は労働者のもとに届かなかった。

 

(浙江省嘉興市烏鎮の政府前で抗議する「迪鵬光電科技股份有限公司」の従業員たち、2025年4月28日)

 

烏鎮の事件は、氷山の一角に過ぎない。

4月24日には、湖南省道県にある主にゴルフバッグやスポーツ用プロテクターなどを製造している企業「広新運動用品有限公司」の工場で、数百人の労働者がストを決行。労働者たちは、工場閉鎖に伴う補償金の不払いのほか、高齢を理由にクビにした労働者に対して、経済補償を支払わなかったことなどに抗議した。同社では法律で義務付けられている労働者のための社会保障についても長期未納という違法状態だった。

4月27日に、四川省にある電子工場「四川遂寧上達電子工場」でも従業員たちが長きにわたる賃金未払いを訴えストライキに突入。

このほか、重慶市や陝西省西安市の建築現場でも長きにわたる給料未払いをめぐって抗議行動を行っていた。

内モンゴル・通遼市の建設現場に至っては、労働者がビルの屋上に登り「給料払わないと飛び降りる」と自殺をほのめかした極端な抗議を行った。

給料を払えない雇用側には、いずれも資金繰り悪化が背景にあると言う。

米大手投資銀行ゴールドマン・サックスの試算によれば、アメリカによる対中関税の大幅な引き上げにより、中国の輸出関連産業に従事する労働者のうち、最大で2千万人(中国労働力の約3%)が職を失うリスクに直面した。

中共中央政治局も危機感を強め、「雇用・企業・市場・予測の安定」を掲げるが、その具体策は乏しく、地方政府は責任逃れに終始。

台湾南華大学の孫国祥教授はエポックタイムズの取材に対し、「中共の唱える“内政安定”と“対外闘争”という二つのスローガンは、むしろ矛盾を深めた」と指摘した。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!