小さな町の女子学生が、夢と小遣い稼ぎを胸に始めたバイトだ。彼女はただ、チラシを配る仕事だと思っていたが、連れていかれたところは血液採取施設……。家に帰った少女はフラフラになり、不審に思った母親が問い詰めた結果、事件が発覚した。中国の片田舎で起きた静かな搾取の記録である。
母親によるSNSでの実名告発によると、被害を受けた娘は同級生から「チラシ配りのバイト」だと誘われて行ったら、連れていかれたのは町の血液採取施設だった。そこで「社会実践」や「愛の奉仕」といった美名のもとに一日中説得(洗脳)され、ついには献血(血漿580ml)をさせられたという。
なお、日本では適切な医療管理のもと、1回600mlまでの血漿採取が「安全な上限」とされている。
娘は謝礼として、市場価格を大きく下回る300元(約6千円)と「名誉賞」の表彰状をもらい、勧誘した同級生も紹介料を受け取った。抜き取られた血の用途についての説明は、一切なかったという。
ネット上では「これは臓器狩りの入口ではないか」「これでだれか臓器提供を待ってる人とマッチングしてしまったら少女はその後行方不明になるだろう」といった不穏な書き込みも相次いだ。
この件は、中国メディアも取り上げており、世論の圧力のもと、現地当局もようやく調査に乗り出した。採血を行った施設は、中国の大手製薬会社・博雅生物の傘下企業であることが判明したが、この件は現在「調査中」だという。
このような“偽バイト”を装った血の搾取は、すでに各地で常態化している。露呈したのは一件だけだが、闇は想像以上に深く広がる。
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