米上院は、中国企業による米軍基地周辺の土地取得を防ぐため、国家安全保障を強化する新法案を提出した。グランドフォークス空軍基地近隣での中国企業による土地取得未遂事件を受け、既存の審査体制の抜け穴を塞ぎ、外国資本による重要軍事拠点周辺の不動産取引を厳格化する動きが加速している。
3年前、中国の阜豊グループはアメリカの法制度の隙を突き、ノースダコタ州グランドフォークス空軍基地から車で約20分の土地取得を試み、あと一歩で目的を達成するところであった。
この取引は首都ワシントンD.C.にも警戒を呼び起こし、議会と国家安全保障機関は外国企業による軍事基地周辺の不動産取引を見直す機運を強めた。最近、米上院銀行委員会は「Protect Our Bases Act(我々の基地を守る法案)」を提出し、既存の審査体制に潜む抜け穴を塞ぎ、中国関連企業が米軍の重要拠点周辺に土地を取得することを防ぐ措置を講じようとしている。
銀行委員会委員長のティム・スコット上院議員は『ニューヨーク・ポスト』に対し、「中国共産党はアメリカの国家安全保障のあらゆる領域に触手を伸ばし、監視を試みている。我々は常に高い警戒レベルを維持しなければならない」と述べた。
さらにスコット氏は、「本法案は、外国企業や個人による重要軍事拠点近隣の土地取引に対する審査を強化し、米国外国投資委員会(CFIUS)による必要な安全保障情報の把握を可能にする枠組みを整える」と説明した。
外国投資委員会は、通常アメリカ国内での外国資本による投資案件を精査し、必要に応じて政府に取引阻止を勧告する。しかし、阜豊グループによる当該案件に対しては、国防総省がグランドフォークス空軍基地を国家安全保障の重要施設として指定していなかったため、審査の対象外となった。
最終的に、グランドフォークス市が土地取得を阻止したが、多くの専門家は、この事例がアメリカの安全保障政策に存在する重大な盲点を浮き彫りにしたとみている。
阜豊グループが注目したのは300エーカー超の農地であり、幹線道路に面し、都市郊外の軽工業地帯に近接する。土地には雑草が生い茂るだけで、目立った構造物は存在しない。周辺には農業関連企業や物流業者、景観資材販売業者などが位置し、すぐ近くにはグランドフォークス空軍基地が控えている。
この基地にはアメリカ最先端の軍用無人機技術が集中し、米軍の通信インフラの中枢を担うグローバル通信拠点としても機能している。
上院が提出した新法案では、外国投資委員会などの関係機関が毎年、重要軍事施設のデータベースを更新し、それに関連する不動産リストを議会に定期報告する義務を負う。
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