米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、全米12地区の経済状況をまとめた景況報告「ベージュブック」を発表した。本報告は、2025年5月下旬から7月上旬までの期間の経済活動を取り上げている。FRBは「経済はわずかに拡大した」と評価している。前回報告の「わずかに鈍化」したという見方に比べれば、やや前向きな表現となった。
今回の報告では、多くの地区で経済活動が小幅から緩やかに拡大した一方、一部の地区では横ばい、あるいは緩やかな減速も見られた。全体的に拡大傾向が続いているが、成長の力強さは限定的と指摘されている。物価についてはおおむね上昇傾向を示したが、価格の上昇ペースや影響には地域差がある。人手不足や原材料のコスト増といった要因で物価に上昇圧力がかかっているが、いくつかの地区では物価上昇が落ち着きをみせていると報告された。
雇用面では、多くの企業が慎重な姿勢を保っており、急激な雇用拡大や削減は見られなかった。先行きに対する企業の不安や警戒感が依然として強いとされる。不確実性の要因としては、高関税政策、原材料費の変動、世界的な経済情勢などが挙げられている。
今後について、FRBは「見通しには依然として高い不確実性が残る」としている。景気の持続的な拡大が続くかどうか不透明であり、企業も慎重な対応を続けている。経済政策や金利動向についても大きな変更は予告されていないが、物価や雇用の状況を注視しつつ判断が行われる見通しである。
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