米国防総省(戦争省)は9月19日、庁舎に出入りする報道関係者に対し、新たに「誓約書」への署名を義務付ける17ページの覚書を発表した。内容は、機密扱いでない情報であっても、当局者の承認なしに報道してはならないとするもので、違反すれば通行証を取り消される可能性がある。
この新方針は、ヘグセス長官の指示によるもの。誓約書には「非機密情報であっても発表前に承認が必要」と明記され、庁舎内での取材活動に関する詳細なルールが記されている。
ヘグセス氏はさらに、記者が許可なしに庁舎の多くの区域を自由に行き来することを禁じると説明。これまで比較的自由に出入りできた区域も対象となる。Xには「ペンタゴン国防総省を支配するのはメディアではなく、国民だ。記者がこの安全施設の廊下を自由に歩き回ることは、もはや許されない。バッジを着用し規則を守れ。従わないなら出ていってもらう」と投稿した。
今年に入って国防総省はメディア対応を大きく見直しており、CNNやワシントン・ポストなど大手メディアの常駐を認めない一方で、ニューズマックスやワシントン・イグザミナーといった保守系媒体には新たに入館を許可している。
全米記者クラブのマイク・バルサモ会長は「もし報道が政府の事前承認を必要とするなら、国民は独立した報道を得られず、官僚が見せたい情報しか目にできなくなる」と警告。記者協会も「極めて憂慮すべき動きだ」と反発している。
ヘグセス氏の就任直後には二つの情報漏洩が注目された。ひとつは「アトランティック」誌編集長のジェフリー・ゴールドバーグ氏が誤って国防長官と幕僚のイエメン作戦に関するチャットグループに招待され、当時の国家安全保障担当補佐官が更迭された件。
もうひとつは、実業家イーロン・マスク氏が米軍がマスク本人に米中作戦計画を説明する予定だったことをニューヨーク・タイムズに漏らした。このブリーフィング(事前に情報や指示を簡潔に伝達すること)はトランプ大統領の命令で実施されなかったものの、国防総省は関与した2人の職員を調査対象とし、職務を停止した。
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