5月21日、米共和党のトム・コットン上院議員は、米司法省のブランシュ副長官代行に書簡を送り、中国資本が関与する外部委託型の物流ネットワークについて調査を行うよう求めた。
コットン氏は書簡で、中国共産党(中共)と関係がある物流企業が米国内で事業を拡大していると指摘した。これらの企業は、アメリカの住宅地や商業地区、重要インフラ周辺の道路を走行し、配送ルート、商業施設、住宅に関する詳細なデータを収集しているという。また、低価格でアメリカ企業と競争し、米国内の物流事業者に打撃を与えているとした。
インド太平洋戦略シンクタンクの特別顧問、陳文甲氏は、中共と関係ある物流企業がもたらすリスクは、単なる価格競争にとどまらないと考えている。
「より深い構造的な問題がある。アメリカの物流業や小売業の事業基盤を圧迫する可能性があるうえ、より敏感なのはデータの問題だ。物流は、生活圏や商業活動に関する大量の実データを把握している。外部から見れば、こうしたデータを中共が利用するのではないかとの懸念が生じるのは当然なことだ」と指摘した。
米経済学者、デービー・ウォン氏も、北京がこうしたデータを分析し、アメリカの商業構造や物流網、人口分布、インフラの状況を把握する可能性があると指摘した。そのうえで、これらの情報が国家戦略や軍事面で価値を持つと述べた。
コットン氏は書簡の中で、これは「見慣れた筋書き」だと指摘した。中国企業は補助金を受けた低価格でアメリカ市場に参入し、市場シェアを奪い、アメリカの日常的な商取引に深く入り込む。「ラストワンマイル(物流や配送において、最終的に商品が消費者の手元に届くまでの最後の区間を指す)」物流は、その最新の事例にすぎないという。
ウォン氏は、こうした企業がアメリカ従来の物流業界の構造に影響を及ぼすとし、次のように述べた。
「北京に支配される宅配企業は、現地法人や中国系経営者を通じて事業を展開し、多数のパートタイム労働者や単発労働者を集めている。アメリカのトラック運転手や運送業界の雇用、収入を圧迫する。アメリカ側から見れば、不公平な労働モデルを利用した経済侵略とみなす」
コットン氏が言及した中国資本の物流企業には、中国企業の縦騰集団とその子会社である雲途物流、Cirro Logisticsを含む。また、アメリカで登録した関連企業として、縦騰集団が支援するGOFO、中国の貨物業界出身者が設立し、SHEIN、Temu、TikTok Shop向けにサービスを提供するSpeedXも挙げた。さらに、カナダで登録し、中国資本の支援を受けるUniUni、テンセントの支援を受けるインドネシア企業のJ&T Expressも含む。
陳氏は、中共の下では企業が国家戦略に動員され得る体制があるため、商業活動と中共の戦略的意図を完全に切り離すことは難しいと指摘した。
「表向きは越境ECや消費需要に対応するサービスだが、実質的には米国内に長期的な拠点を築き、サプライチェーンと市場への影響力を徐々に強める動きである。つまり、これは単なるビジネスではなく、中共が経済力を使って国際的な影響力を広げる手法の一つだ」
コットン氏は、これら中国資本系物流企業がアメリカ人の雇用とアメリカの第三者物流事業者に重大な損害を与えていると強調した。
ウォン氏は、今回の書簡について、中国系宅配企業に対する監視と取り締まりが強まる兆しだとの見方を示した。今後、司法省や国土安全保障省が州をまたぐ大規模な合同捜査に乗り出すという。また、外国企業に対する説明責任を問う関連法規や、関税・税務調査の枠組みを活用し、刑事面でアメリカ法に違反していないかを調べるとした。
コットン氏は司法省に対し、中国資本の支援を受け、アメリカで運営する配送会社や第三者物流プラットフォームについて、所有構造と支配構造を調査するよう求めた。あわせて、これらの企業が収集するデータについて、中共がアクセスできる可能性、補助金を背景にした不当に安い価格設定、いわゆる略奪的価格設定が連邦反トラスト法に違反していないか、中国の親会社とともに関税逃れや税関詐欺に関与していないかについても調べるよう要請した。
陳氏は、コットン氏の要請は、アメリカがこうした企業を単なる外国企業ではなく、潜在的な国家安全保障上のリスクと見なし始めていると述べた。
「アメリカの中共に対する警戒は、全面的に高まっている。対象はこれまでの先端技術や通信分野から、物流やサプライチェーンにも広がっている。かつては市場開放を重視していたが、現在は市場開放を維持しつつ、安全保障上のリスクに備える姿勢へと転じている。制度上の抜け穴を補強し始めているのだ」
評論家らは、今後、データ、インフラ、サプライチェーンの要所に関わる中共企業は、アメリカでより厳しい審査に直面するとみている。
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