2026年W杯に猛暑リスク 選手・観客に熱中症懸念と気候研究が警告

2026/06/11
更新: 2026/06/11

最新の複数の気候研究によれば、6月11日にアメリカ、カナダ、メキシコで開幕する2026年FIFAワールドカップは、極端な高温や高湿度、さらには雷雨といった気象条件に見舞われる可能性がある。気候学者は、高温が選手のパフォーマンスや健康に影響を及ぼすだけでなく、数十万人に及ぶ観客にも安全上のリスクをもたらすと警告している。

4分の1の試合が危険水準に達する可能性

国際的な研究者で構成される「世界気象帰属(World Weather Attribution、WWA)」が発表した最新の分析によれば、今大会の全104試合のうち、およそ4分の1が、国際プロサッカー選手会(FIFPRO)が推奨する安全基準を上回る気象条件のもとで実施される可能性がある。

研究者によれば、リスク評価の重要な指標は単なる気温ではなく、「湿球黒球温度(Wet-Bulb Globe Temperature)」である。この指標は、気温、湿度、日射、風速などを総合的に反映し、人間が実際に受ける熱ストレスをより正確に示すものだ。

オレゴン大学スポーツ・環境生理学研究所のクリス・ミンソン教授は、プロ選手は試合中に大量の熱を発生させるため、高温かつ高湿度の環境では体内の放熱が妨げられ、熱疲労のリスクが高まると指摘している。

米国の研究機関クライメート・セントラルの研究でも、気候変動の影響により、97試合で競技パフォーマンスに影響を及ぼす高温が発生する可能性が大幅に高まっていることが示された。約半数の試合では、少なくとも50%以上の確率で摂氏28度(華氏82.4度)を超えるとされ、この水準を上回ると選手のスピード、持久力、回復力に悪影響が及ぶと考えられている。

南部開催都市で高まる猛暑リスク

気候研究によれば、ダラス(日本の試合会場)、ヒューストン、マイアミ、カンザスシティ、アトランタといった都市では、特に深刻な高温リスクに直面する可能性が高い。

また、メキシコシティは標高約2240メートルに位置しており、高地環境は低地から来た選手にさらなる負担を与える可能性がある。

世界気象帰属は、1994年にアメリカで前回のワールドカップが開催されて以降、地球の平均気温が上昇し続けており、一部の開催都市では高温発生リスクが2倍以上に増加していると指摘している。

研究者らは、気候変動が夏季の大規模スポーツイベントに対し、年々大きな健康リスクをもたらしているとみている。

観客の熱中症リスクは選手以上

専門家は、医療体制や冷却対策が整っている選手に比べ、観客の方がより高いリスクにさらされる可能性があると指摘している。

多くの観客は、屋外スタジアムやファンゾーン、公共の観戦イベント会場などで長時間過ごすことになり、その中には高齢者や心血管疾患などの基礎疾患を抱える人も含まれる。

ロンドンのインペリアル・カレッジの上級講師クリス・ミリントン氏は、長時間にわたり高温環境にさらされることで、脱水症状や熱中症、さらには生命の危険に至る可能性があると述べている。

FIFAの暑さ対策と設備強化

こうした懸念に対し、FIFAはすでに対策を講じているとしている。すべての試合で前後半それぞれに3分間の給水休憩を設けるほか、熱中症の予防と管理を目的とした専門部会を設置し、高温警報への対応や医療体制の整備を進める方針である。

さらに、複数のスタジアムでは開閉式屋根や空調システム、冷却設備が導入される予定である。主催者は観客向けに給水ステーションやミスト冷却装置、避暑スペースの設置も行うとしている。

しかし、多くの科学者はFIFAに対し、高温対応基準のさらなる見直しを求めている。必要に応じて試合開始時間の変更なども検討すべきだとし、選手および観客の安全確保を強く訴えている。

高杉