南シナ海を巡る2016年の仲裁判断から10年となった7月11日、日本、アメリカ、イギリスなど14か国は共同声明を発表した。中国共産党(中共)が南シナ海で主張する拡張的な海洋権益には国際法上の根拠がないと改めて確認し、武力や威圧による一方的な行動に反対する姿勢を示した。
中共側はこれに強く反発している。中共外務省は12日、北京の日本大使館の横地晃次席公使を呼び出し、抗議した。
フィリピンは2013年、国連海洋法条約に基づき、中共が南シナ海で主張する海洋権益について仲裁手続きを申し立てた。
争点となったのは、中共が「九段線」を根拠に、南シナ海の大部分に「歴史的権利」があると主張してきたことである。
「九段線」とは、中共が南シナ海の地図上に9本の断続線で示してきた範囲を指す。中共側は、この線で囲まれた海域や島礁に「歴史的な権利」を持つと主張してきた。その範囲は南シナ海の約9割に及び、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、インドネシアなどが主張する海洋権益と重なっている。
2016年、仲裁裁判所は、中共が主張する九段線には、国連海洋法条約上の法的根拠がないと判断した。また、中共は九段線を根拠に、関連海域で排他的な権利を主張することはできないとした。
仲裁判断後、アメリカ、日本、オーストラリア、EUなどは、判断を支持する立場を個別に表明してきた。判断から5年となった2021年にも、各国や国際機関が相次いで声明を発表した。
今回の共同声明には、アメリカ、オーストラリア、カナダ、エストニア、ドイツ、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、ニュージーランド、フィリピン、ルーマニア、スロベニア、イギリスの14か国が参加した。
声明は、海洋を巡る争いについて、国連海洋法条約に従い、平和的に解決されるべきだと強調した。また、2016年の仲裁判断は、中共とフィリピンの双方を法的に拘束する最終判断であると指摘した。
そのうえで、中共が南シナ海で主張する「歴史的権利」には法的根拠がないとの判断を改めて確認した。航行の自由や上空飛行の自由、国連海洋法条約に基づく海洋利用の権利を守る重要性も訴えた。
声明はさらに、地域の平和と安定を損なう一方的な行動や、武力、威圧によって現状を変えようとする行為に強く反対すると表明した。
特に、沿岸警備隊や軍、海上民兵などを使い、他国が国際法に基づいて行う海上や空中での活動を妨害し、威嚇によって圧力をかける行為を批判した。こうした行為は、関係者や漁民の安全を脅かし、地域の平和と安全を大きく損なうとしている。
一方、中共は仲裁判断を一貫して受け入れず、承認もしない立場を示している。
中共国家安全部は7月11日、南シナ海を巡る仲裁判断について「何の拘束力もない紙切れにすぎない」と主張した。いわゆる「裁決」を受け入れず、承認もしないとし、判断に基づくいかなる主張や行動も認めないとの立場を改めて示した。
共同声明が発表された翌日、中共外務省は北京の日本大使館の横地晃次席公使を呼び出し、強い不満と抗議を表明した。「日本の挑発に断固として反撃し、領土主権と海洋権益を断固として守る」と主張した。
これに対し、横地氏は日本政府の立場を説明し、中共側の主張に反論した。
この日のやり取りでは南シナ海問題のほか、中共による輸出管理措置なども取り上げられた。横地氏は日本側の立場を伝え、中共側に適切な対応を強く求めた。
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