欧州15か国で11月2日、スーパーの冷蔵庫や冷凍庫がハッキングされ、庫内温度が一夜にして上昇する被害が報告された。フランス当局も3日夜、複数の血液保管施設がサイバー攻撃を受け、冷凍庫の設定温度が異常な高温に変更されていたと発表した。血液製剤や検体への被害はなく、損失は免れた。
欧州のニュース専門局ユーロニュースによると、フランス血液機構(EFS)は声明で、2日に血漿を保管する3か所の冷凍施設で、温度や解凍に関する設定値が異常な高温に変更されていたと明らかにした。
EFSは「現時点で健康への影響は確認されておらず、血液製剤の損失も発生していない」と説明した。
報道によると、攻撃の標的となったのは、EFSに冷凍設備を提供する「クールワールド」だった。ハッカーは冷凍設備の温度制御システムを不正に操作し、血液製剤の保管温度を変更しようとした。
風刺週刊紙「ル・カナール・アンシェネ」によると、ハッカーは、通常マイナス30度前後に保たれる冷凍庫の設定温度を、110度にまで引き上げた疑いがある。
EFSによると、影響を受けた施設には、輸血用の血漿バッグや医薬品製造に使う血漿が保管されていた。これらはすべて別の施設に移すか、安全な状態で保管した。
EFSは声明で「監視システムと警報装置が異常を速やかに検知したため、職員が迅速に対応し、血液製剤や検体への被害を防ぐことができた」と説明した。
また、採血や血液製剤の配送は通常どおり行っており、病院などの医療機関への供給にも支障は出ていないという。
冷凍血漿は、重度の出血や一部の血液凝固障害の治療に使われる重要な血液製剤だ。品質と安全性を保つには厳格な温度管理が必要で、適切な保管温度を長時間維持できなくなれば、使用できなくなる恐れがある。
フランスの国家サイバーセキュリティ機関と保健省が今回の事件を調査している。
一方、Xアカウント「GeoInsider」によると、欧州15か国でも冷蔵・冷凍設備を狙ったサイバー攻撃が報告された。スーパーなどの冷蔵庫や冷凍庫が遠隔操作され、庫内温度が上昇したことで大量の食品が傷み、被害額は数百万ユーロに達したという。
同アカウントが挙げた15か国は、スウェーデン、ベルギー、ルクセンブルク、エストニア、アイルランド、オランダ、フィンランド、デンマーク、イタリア、ルーマニア、ドイツ、ポルトガル、ポーランド、ノルウェー、英国である。
これに先立ち、フランスや米国でも同様の事件が報告されていた。
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