中国南部で大規模な洪水被害が続く中、被災地へ向かった民間救援隊が、「無断救援」を理由に上部組織から撤収を命じられた。
被災地からは「なんで助けに来た人を帰らせるんだ」と戸惑いの声が上がり、中国ネットでも「人助けにも許可が必要なのか」と疑問と怒りが噴出した。
撤収を命じられたのは、中国最大級の民間救援組織「藍天救援隊」の河南省チームである。河南省藍天救援隊の本部側は、湖南省常徳市(じょうとくし)の洪水被災地へ向かった複数の支隊に対し、「事前承認なしで越境救援を行った」「現地映像を勝手に公開した」として、全員撤収と書面警告を命じた。
現地では5月中旬から豪雨が続き、湖南省石門県(せきもんけん)では洪水や土石流が発生した。住民によると、事前避難の通知がないまま放流が行われ、家や村ごと流された地域もあるという。
公式発表では死者7人、行方不明14人とされているが、SNSには集落が濁流にのみ込まれる様子や、住民が屋根の上で救助を待つ様子など深刻な映像が次々と投稿されている。住民側からは、「実際の被害はもっと深刻だ」との声も上がっている。
こうした中、被災地へ向かった救援隊に撤収命令と内部警告が出された。
藍天救援隊は、中国各地に約500のチームを持つ大規模な民間救助組織として知られる。しかし、中国問題に詳しい評論家の李林一氏は、「現在の中国には、本当の意味で独立した民間組織や純粋な公益団体はほとんど存在しない」と指摘する。藍天救援隊のような大規模組織にも共産党組織が入り込んでおり、実際には当局の影響下で運営しているという。
さらに李氏は、中国当局が特に懸念しているのは、巨大な民間組織が持つ「動員力」だと分析する。災害救援を通じて人や情報が広くつながれば、将来的に抗議活動や権利擁護運動などへ発展し、政権への脅威になることを当局は恐れているという。また、現地の実態映像や住民の声が外へ広がり、公式発表との食い違いが注目されることも、当局側が強く警戒しているという。
藍天救援隊をめぐっては近年、内部の利益対立や運営方針をめぐるトラブルもたびたび報じられている。
いずれにせよ、洪水の中で助けを待つ被災者がいる一方、現場へ向かった救援隊には撤収命令が出された。被災地や中国ネットでは、「何をそんなに隠したがっているのか」「許可だ管理だと言っている場合か」「被災者を見捨てたのと同じだ」と、この対応への怒りが広がっている。
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