米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは15日、米沿岸警備隊が全長約17メートルの高速対応巡視艇6隻をシンガポールとフィリピン・スービック湾に配備し、「遠征巡視艇中隊」を編成したと報じた。米沿岸警備隊がこの種の部隊を西太平洋へ前方展開するのは初めてで、これまでは主に中東地域への配備が中心であった。
計画によると、この巡視艇部隊は少なくとも今年9月まで駐留し、シンガポールとルソン島のスービック湾を交代で展開し、後方支援の拠点として活動する。
専門家は、今回の配備について、中共が近年、台湾海峡や南シナ海で海警局、海上民兵船、法執行船などを活用した「グレーゾーン」活動を拡大し、係争海域での実効支配を強めようとしていることへの対応が主な狙いだと分析している。こうした動きは地域の緊張を一段と高めている。
特に注目されるのは、沿岸警備隊が海軍の戦闘部隊ではなく法執行機関である点である。政治的な敏感度が比較的低いため、フィリピンやベトナム、太平洋島嶼国などとの協力を進めやすく、違法操業の取り締まりや密輸対策、海上警備、海洋法執行などを実施しながら、偶発的な衝突を避けることができる。
また一部の専門家は、中東情勢への対応で米軍の負担が増す中でも、沿岸警備隊を活用することで、米国が複数の戦略課題へ同時に対応できる柔軟性を示したとの見方を示している。
一方、米議会は沿岸警備隊向けに約250億ドルの予算を承認し、次世代の艦艇や航空機の整備を進めるほか、「フォース・デザイン2028」に基づき約1万5千人を増員する方針である。組織の規模は数十年ぶりの高水準となる。
グアムとハワイを後方拠点とし、シンガポールとスービック湾を前線の拠点とする新たな態勢により、米沿岸警備隊は米インド太平洋軍と緊密に連携し、防衛ラインの前方展開を進めている。
米議会 対台湾支援を強化 5億ドルの軍事支援を優先へ
インド太平洋情勢への対応を進める一方で、米議会は改めて台湾支持の姿勢を打ち出した。
米下院は15日、2027会計年度の国家安全保障・外交関連歳出法案を可決した。法案で特に注目されるのは、台湾に対して少なくとも5億ドルの軍事融資を提供するよう求めるとともに、防衛用の兵器や関連サービスの引き渡しを優先事項とするよう米政府に求めている点である。
つまり、台湾への軍事支援を継続するだけでなく、防衛装備品の引き渡しを一段と加速させる狙いがある。
法案には軍事支援以外にも、新たな内容が盛り込まれた。
今後、米国が外国政府への支援を判断する際には、その国が国連で米国の戦略的利益に沿った投票行動を取っているかだけでなく、国際機関や多国間組織、各種委員会への台湾の参加や活動を支持しているかどうかも評価項目の一つとなる。
また法案は、米国在台協会(AIT)が運営する「グローバル協力・訓練枠組み(GCTF)」への支援として400万ドル以上を計上し、台湾と各国による公衆衛生、デジタル・ガバナンス、エネルギー安全保障などの分野での協力を引き続き後押しする。
さらに法案では、米政府がこの予算を使用して、台湾および台湾が実効支配する島嶼を誤って表示した地図を制作、調達、展示することを禁止すると明記した。
全体として、この法案の総予算は前年より約6%減少したものの、台湾、イスラエル、ヨルダンなど同盟・友好国への支援は維持され、中共、イラン、キューバへの対抗を重点政策として位置付けている。
下院歳出委員会のコール委員長は、この法案の目的は米国の同盟国への支持を明確にするとともに、対立国との一線を鮮明にすることにあると述べた。
ただし、この法案は現時点では下院を通過した段階にすぎず、今後は上院での審議を経て、上下両院が同一内容の法案を可決した後、大統領の署名を経て正式に成立する。
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