生命の不思議 僅かな脳組織でも正常に生活できる

2015/10/05 07:00

 脳には中枢神経がある。医学の常識から考えると、たとえ僅かでも脳組織が欠損してしまうと、重大な機能障害を引き起こす可能性がある。欠損範囲が大きくなれば障害の程度も大きくなる。しかし、脳組織に大きな欠損があるにも拘らず、身体に障害がほとんど見られず、正常に生活している人がいる。

 イギリスに住むシャロン・パーカー(Sharon Parker、女性)さんは、看護師として働く3児の母である。彼女の検査結果を見るような機会でもなければ、彼女の脳に大きな異常があるとは誰も思わない程、シャロンさんはごく普通に生活している。しかし、彼女は重度の水頭症患者であり、脳組織は健常者の10~15%しか残っていない。

 水頭症(すいとうしょう)とは、脳脊髄液の産生、循環、吸収などいずれかの異常によって髄液が頭蓋腔内に貯まり、脳室が正常より大きくなる病気である。脳脊髄液による脳の圧迫程度によって、脳機能が影響を受ける度合いも変わる。常識で考えると、シャロンさんの脳の圧迫状況は彼女に重度の脳障害を引き起こしていても、なんら不思議ではない状態にある。しかし、イギリスの医学系ウェブサイト(My Multiple Sclerosis)2015年7月10日に掲載された彼女に対する調査報告では、彼女の知能指数(IQ)は113に達しており、健常者の知能指数平均値90~109よりも高いという。

 シャロンさんは自分の能力に関して、「私は数字を記憶することが大変苦手です。電話番号は覚えられません」と話す。しかし、彼女と一緒に15年間生活してきた夫のデイブ(Dave)さんによると、シャロンさんは整理整頓の面ではあまり気を使わないが、それ以外では実際に生活する上で何の不都合もないという。また、「医者からは『この子は成人するまで生きられないだろう』と何度も告げられました」と、シャロンさんの母親は話す。

 2015年6月、『生物学の理論(Biological Theory)』に掲載されたカナダのクイーンズ大学生物学研究者ドナルド(Donald Forsdyke)博士による研究報告では、次のように述べられている。「水頭症の症例の中には、脳の組織が非常に少ない重度の患者でも正常な知能を保っているケースが見られる。脳の体積と記憶力や知力の間には必然的な関係は存在しておらず、故に、脳に依存しない『体外情報保存システム』が存在する可能性も考えられる。脳に関して深く探究していけば、やがて神経科学の範疇を超えて哲学の方面から探求しなければならなくなるだろう」

(翻訳編集・金谷)

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