マネーサプライ対GDP比、異常な260% バブルとインフレ危機の元凶=中国

2010/11/05
更新: 2010/11/05

【大紀元日本11月4日】中国ではこのところ、不動産、食品、食糧、綿花などの価格が急騰しており、インフレ圧力が急激に増強した。中国人民銀行中央銀行)によるマネーサプライの急増が主な原因であると専門家は相次いで指摘する。

11月2日付「中国経済週刊」によると、中国人民銀行(中央銀行)の元副総裁で、現在全国人民代表大会(全人代、国会に相当)財政経済委員会の呉暁霊副主任は最近、「過去30年間、われわれはマネーサプライを急増させることで、経済の急速な発展を推し進めてきた」と認めた。同氏の話によると、「過去の一定期間、中央銀行にはマネーサプライの過剰な供給という問題がある。特に09年は、金融危機の対応政策として(中央銀行は)超金融緩和政策を採った」という。

中国人民銀行が2日発表したマネーサプライ統計によると、9月末時点の広義マネーサプライ(M2)残高は69兆6400億元(約843兆円)で、前年同月比19%増となった。一方、先月21日発表された中国の1~9月の名目国内総生産(GDP)は26兆8660億円(約325兆円)。同期のマネーサプライ対GDP比(マーシャルのK)は約260%と異常に拡大し、中国金融市場における過剰流動性がはっきりと示された。一般的に先進国のマーシャルのKは約50%から70%の間を推移しており、またバブル経済ピーク時の日本のマーシャルのKは120%だったと言われている。

中国政府の統計によると、2000年の中国GDPの総規模が8兆9000億元に対して、広義マネーサプライ(M2)は13兆5000億元で、マーシャルのKは約150%だった。09年になると、GDP総規模は33兆5000億兆に対して、広義マネーサプライ(M2)は60兆6000億元で約180%と急速に拡大した。

また、09年末時点で33兆5400億元に達した中国GDP規模は1978年の3645億2000万元の92倍だ。しかし、広義マネーサプライ(M2)は1978年の859億4500万元から09年の60兆6000億元と、31年間で約705倍に膨らんだ。

一部の専門家は、人民銀行が行った極端な金融緩和政策が、過去30年(特にここ10年)にわたり積極的に推進してきたマネーサプライの過剰供給をさらに深刻化させたと指摘する。中国人民銀行の元副総裁の呉暁霊氏はこの指摘について、「人民銀行は公開市場オペの技術がまだ不足している」としながら、「しかし、我が国の中央銀行は公開市場オペに関する独立性に欠けており、今後それを高めなければならない」と言及し、マネーサプライなどを含む金融政策の制定や実施に中央政府の強い影響力を示した。

専門家「中央銀行の利上げは遅すぎる」

一方、人民銀行がこのほど実施した利上げについて、独立経済評論家の謝国忠氏は、「中央銀行の利上げ実施は遅すぎる。マネーサプライの過剰な供給がすでに深刻化しており、金融引締政策を早期に行うべきだった」と指摘した。また「このほど、緑豆やしょうが、ニンニク、トウガラシなどを含む農産品価格の急騰は、実にマネーサプライの急増の結果だ。長い間に増加し続けてきたマネーサプライで、市場の過剰流動性が拡大し、現在中国経済に強力なインフレリスクをもたらしている」と「中国経済週刊」の取材に述べた。

過剰流動性の拡大で、09年株式市場の株価の急上昇や不動産市場バブルをもたらした。しかし中国政府が4月に不動産価格抑制政策を打ち出して以降、それらの投機資金が、農産物や資源などの商品取引市場に流れていたとみられる。

1日に4度も変わる食用油の価格 国民生活が苦しい

マネーサプライの急増で中国経済が大きく拡大したが、同時にインフレ圧力も一段と強まった。2日、国家発展改革委員会(発改会)が発表した10月の都市部食品小売価格調査によると、調査対象となる野菜、果物、食用油など31項目の商品のうち、24項目の価格がそれぞれ9月と比べて上昇している。同調査は北京、上海、重慶などの36の大中都市で行われている。

また生産メーカー側の相次ぐ値上げにより、食用油、酒、インスタントラーメン、シャンプー、洗剤などの販売価格が10%から20%上昇。「価格表示が間に合わない」、「食用油を例にとると、1日に3、4回値上がりの通知を(生産メーカーから)受け取る。最も多い時は4回も値札を変えた」と北京のスーパーマーケット店員は嘆く。3人から5人家族の世帯の1か月の支出は少なくとも数百元は増えており、国民は物価高騰で生活苦に直面している。

インフレ圧力を最も強く感じているのは台所を預かる主婦だ。広州市の6人家族を持つ主婦は、昨年と同じような水準の食事を維持するには今、倍近くの食費が必要だと話す。中国の各家庭では物価高騰の対策で、食用油やトイレットペーパーなどの生活に欠かせない物を大量に買い込んだり、生活費を切り詰めたりしているという。

(翻訳編集=坂本、張哲)
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