5月11日、欧州は、これまで中国に送っていたプラスチック廃棄物の半分強を、他のアジア諸国に送り出した。1月に中国政府が環境規制を強化し、世界最大のリサイクル市場が閉ざされてしまったからだ。スペインで1月撮影(2018年 ロイター/Vincent West)

行き場失った欧州の「廃プラ」、中国輸入停止で対応苦慮

プラスチック廃棄物による汚染は急拡大しており、国連環境計画によれば、2050年までに、海洋ではプラスチック廃棄物が魚介類の重量を上回る可能性があるという。

世界各国が輸出するプラスチック廃棄物の半分をこれまで処理していた中国は、廃棄物がリサイクル不能と判断されて焼却に回ることを防止するため、洗浄・分別の基準をもっと厳しくすることを主張してきた。中国の場合、焼却は「野焼き」という形をとることが多い。

欧州にとって、こうした基準の厳格化は事実上の輸出禁止として作用している。ロイターが閲覧した公式データによれば、今年1─2月の対中輸出は前年比96%減と壊滅状態にある。

マレーシア、ベトナム、トルコ、インド、インドネシアに代表される諸国が廃棄物の約60%を引き受けているが、なお行き場のない廃棄物があるということは、欧州にとって、低品質の廃棄物市場が崩壊したことを意味している。

英国のリサイクル団体「letsrecycle.com」によれば、紙ラベルなどの不純物の含有率が20%以下の輸出向けプラスチック廃棄物は、2017年4月時点で、1トン当たり25─40ポンド(約3700─6000円)で売却されていた。

ところが先月は逆に、廃棄物を引き取ってもらうために(1トン当たり)40─60ポンドの処理費用を払わなければならなかった。

国際リサイクリング協会のパタワリ・ボラド氏によれば、こうした状況にもかかわらず、欧州でリサイクルの劇的な拡大は見られない、という。「こうした未分別の素材は、電力・熱に転換されるか、単に焼却処分されているとしか考えられない」

廃棄物発電事業者の団体であるCEWEPは、焼却されるプラスチックが増大している兆候は見られないとしている。前出のステングラー氏は、プラスチックの比率が増えていれば、トン当たりで比較した産出エネルギー量が大きくなるため、焼却施設では気づくはずだと言う。

プラスチック埋め立てというアイデアを主張する1人が、イングランドのアクシオン・ポリマーズのディレクター、キース・フリーガード氏だ。アクシオン・ポリマーズは、自動車・エレクトロニクス関連の廃棄物において、欧州を代表するリサイクル事業者の1つである。

「埋め立て地に向かうべき炭素含有量の多い大量の廃棄物が、今はすべて大気中に放出されている。こんな『空の埋め立て』を無料で認めているのはなぜなのか」とフリーガード氏は言う。同氏は、英国プラスチック事業者連盟のリサイクル部会の副議長を務めている。

フリーガード氏はロイターに対し、「将来の資源として、良く管理された埋め立て地においてプラスチックを分別保存すべきだ」と語った。

同氏によれば、1メガワット時の電力を生産するために、廃棄物発電所では345キロのプラスチックを燃やし、880キロの二酸化炭素を放出する。対照的にガス火力発電所では、132キロの天然ガスを燃やし、わずか360キロの二酸化炭素を排出するだけで、同量のエネルギーを生産する。

ステングラー氏や廃棄物発電所を支持する諸国は、こうした計算は誤解を招くものであり、廃棄物発電は、熱波や洪水、干ばつや海面上昇の抑制に向けた2015年のパリ協定における主要目標である化石燃料の置き換えに貢献するものだと主張している。

たとえばスウェーデン政府の試算によれば、都市廃棄物3トンには、石油1トンと同じだけのエネルギーが含まれているという。

欧州委員会によれば、世界全体でのプラスチック生産量は1960年代以降ほぼ20倍に増大し、今後20年間でさらに2倍に増えると予想されている。

ナイロビに本部を置く国連環境計画のエリック・ソルヘイム事務局長は、世界的なプラスチック対策の中心は、「不必要」と思われる一部の化粧品に用いられているマイクロプラスチックや飲料用ストローなどの製品を中心に、使用量を削減していくことであるべきだ、と言う。

「必要としていないプラスチックを避けることが、どのような対策よりも優る」とソルヘイム氏。廃棄物を埋め立てて掘り返すというのは「難しい選択肢」であるように思われるという。

欧州プラスチック製品工業協会によれば、2016年に欧州で回収されたプラスチック廃棄物2710万トンのうち、41.6%がエネルギー生産に、31.1%が対中国輸出を含むリサイクルに、そして27.3%が埋め立てに回ったという。この報告によれば、リサイクルが埋め立てを上回ったのは今回が初めてである。

これに対し、米環境保護庁によれば、国土にゆとりのある米国では、2014年に回収されたプラスチック3300万トンのうち75%が埋め立てられているという。焼却は15%、リサイクルは9.5%とされている。

国連の科学者たちによる2014年の報告は、全世界において、都市からの固形廃棄物のうちリサイクルされているのは約20%にとどまり、約13.5%がエネルギー生産に用いられ、残りは投棄されていると試算している。

Alister Doyle(翻訳:エァクレーレン)