19年度防衛費、過去最高の5.3兆円を要求 2%超の大幅増

2018/08/31
更新: 2018/08/31

[東京 31日 ロイター] – 防衛省は31日、2019年度の防衛費について、過去最高の5兆2986億円(米軍再編費除く)を要求することを決定した。18年度の当初予算から2.1%の上積みで、毎年0.8%ずつ増額してきた過去5年と比べて大幅な伸びとなる。米軍再編費は年末の政府予算案の編成までに要求するとしており、総額はさらに膨らむことになる。

来年度は、陸上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」や長距離巡航ミサイルなど、北朝鮮や中国をにらんで日本がこれまで保有してこなかった装備の取得に乗り出す。宇宙やサイバーといった、新たな領域の対処能力も強化する。

イージス・アショアは、イージス艦に積むミサイル迎撃システムを陸上に配備したもので、目となるレーダー、頭脳となる戦闘システム、機材を収納する建物で主に構成する。関連経費を含めた来年度の計上額は、2基で2352億円。5年で分割払いし、来年度は57億円を支出する。

迎撃に使用するミサイル本体は別費用で、この取得費として19年度は818億円を計上する。関係者によると、能力を向上させた最新型の「SM3ブロック2A」は1発当たり40億円を超える。

最新鋭のステルス戦闘機「F35A」から発射する射程500キロの巡航ミサイルの取得費73億円も盛り込んだ。従来型の戦闘機「F15」も、射程1000キロ弱の巡航ミサイルを搭載できるよう改修する方針で、2機分101億円を計上する。

長距離巡航ミサイルは、専守防衛を掲げる日本が保有してこなかった他国の領土に届く攻撃能力を持つ。防衛省は取得に乗り出す理由として、世界的にミサイルの長射程化が進む中、戦闘機の搭乗員の安全を確保しながら、島しょ部や艦艇を守る必要があるためとしている。

宇宙関連は、不審な動きをする人工衛星や、打ち上げロケットの残骸などを米軍と連携して監視するレーダーを整備する。また、自衛隊の指揮・通信機能を守るサイバー防衛隊を約50人増員して220人体制にする。

このほか、6機のF35A取得を計画する。従来より小型で安価な護衛艦を2隻、潜水艦を1隻建造する費用、超音速で巡航可能な誘導弾の研究費なども要求する。

日本の防衛予算は、主に自衛隊の能力増強費と米軍再編費で構成される。今回の概算要求では米軍再編費は「事項要求」として年末の政府予算案編成時までに決めるとしている。

 

(久保信博 編集:田巻一彦)

 

 8月31日、防衛省は、2019年度の防衛費について、過去最高の5兆2986億円(米軍再編費除く)を要求することを決定した。18年度の当初予算から2.1%の上積みで、毎年0.8%ずつ増額してきた過去5年と比べて大幅な伸びとなる。写真は陸上自衛隊の訓練の模様。御殿場で23日撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

 

Reuters
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