焦点:ポスト安倍 石破氏、コロナ特措法改正と消費税の検証に言及

2020/09/02
更新: 2020/09/02

[東京 2日 ロイター] – 4度目の総裁選出馬となる石破茂元幹事長は、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」を急激に変える必要はないとしつつ、方針の違いも訴える。新型コロナウイルス対策では特別措置法の改正にも言及。消費税については低所得者に配慮した見直しも必要だとする。

第2次安倍内閣で地方創生担当相を務めた経験もあり、地方の活性策に力点を置く。農林水産業の発展の可能性や地方の中小企業へ東京からの人材還流を提言する。

元防衛相の石破氏は日米同盟を基軸に、中国に誤ったメッセージを送らないよう安全保障を強化すべきと主張する。敵基地攻撃能力の保有議論は「論理の飛躍」として消極的な姿勢を示す。

◎コロナ特措法を改正

1日の出馬表明会見では、感染の拡大防止と経済活動の両立を目指す考えを明らかにした。民間も利用したPCR検査の拡充、保健所の機能強化、ITの活用を訴える。

飲食店などに休業要請をしても休業補償がない現在の特別措置法について、都道府県の権能強化も含めて見直しや改正も視野に入れている。

◎消費税の役割再検証

内需が主導する地域分散型の社会への回帰を訴える。国内総生産(GDP)の大半を占める個人消費の浮揚させるため、低所得者の可処分所得を上げていく政策が必要だと主張する。

総裁選の争点の1つである消費税の減免については、「その果たすべき役割を検証する必要もある。単に税率を下げればいいというのではない」と1日の会見で語った。「社会保障の安定財源としてその必要性は高く評価しているが、低所得者に逆進性の影響が及ばないやり方を工夫する必要がある」と述べた。

◎地方創生

少子高齢化が進む中で、地方の活性化が重要というのが持論。農林水産業ほど日本に向いた産業はないとし、公共事業や企業誘致だけではなく、農業や水産業を十分に活かしていく必要があると訴える。

また、さまざまな強みを持つ地方の中小企業が人材を確保できるよう、大都市から地方へ人を移動させる仕組みが必要だと語る。東京の一極集中を分散させるためにも、地方創生が必要だとする。

◎自衛隊と米軍の役割分担を再確認

日米同盟が基軸だが、自衛隊と米軍の役割分担を再確認すべきと話す。自民党で議論が進む敵基地攻撃能力の保有は論理の飛躍だ繰り返して述べており、1日の会見では「相手国での武力行使はどのような手段によるか、そのときに日米同盟がどう機能するのか」と語った。

ミサイル防衛システム自体は保有すべきで、地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」のような機能は必要だとする。

対中関係では、香港国家安全維持法の制定を批判。1日の会見では「一国二制度の否定であり、深刻に受け止めねばならない」と語った。その上で「中国に誤った考えを認めないために、安全保障についてはきちんと整理し、どう対応するか議論すべきだ」と述べた。

(中川泉 編集:久保信博)

Reuters
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