大紀元時報

欧州議会の超党派26議員、セルビアの中国傾斜に懸念表明 中国ワクチン100万回支援受け入れ

2021年01月28日 20時30分
セルビアの首都ベオグラードの保健施設で、中国シノバック社のワクチンを用意する看護師。1月26日撮影(ANDREJ ISAKOVIC/AFP via Getty Images)
セルビアの首都ベオグラードの保健施設で、中国シノバック社のワクチンを用意する看護師。1月26日撮影(ANDREJ ISAKOVIC/AFP via Getty Images)

欧州議会の超党派26議員は、中国傾斜が強まるEU加盟交渉国のセルビアの状況を懸念している。議員らは20日までに欧州委員会に書簡を送り、中国投資の影響に対応するよう求めた。

セルビアは最近、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の中共ウイルス(新型コロナウイルス)ワクチンの大量接種を開始した。中国共産党政権はマスクやワクチンなど世界的に需要が高い医療資源を外交カードに利用している。

26人の欧州議会議員が署名した書簡は、欧州委員会の拡大・近隣政策担当のオリベル・バルヘリ(Oliver Varhelyi)氏に送られた。スロバキアのミリアム・レクスマン(Miriam Lexmann)議員とドイツのラインハルト・ビュティコファー(Reinhard Butikofer)議員が書簡作成の発起人となり、両議員は対中政策列国議会連盟(IPAC)にも参加している。

中国企業増で環境汚染が悪化 住民が反発

セルビアでは鉱山や製鉄所などのインフラや資源を含めた中国の大型投資や買収が増加している。中国国有の河北鋼鉄集団がセルビア政府から2016年に購入したジエレザラ製鉄所では、昨年8月、スメデレボ市の何百人もの住民が、悪化した大気汚染の対策をとるよう抗議デモを行った。

対中国関係を担当する欧州議会代表団議長も務めるビュティコファー議員によると、セルビアにおける中国の重工業への投資は、大気汚染を「劇的なレベル」に悪化させているという。大気のみならず工場の近くにある飲料用の水質も影響を受け、「人々の安全が危険にさらされている」と指摘する。

ボル市でも類似の状況が起きている。中国企業・紫金砿業集団が2018年に買収した銅鉱山による大気汚染が酷いと訴える住民は抗議運動を開始した。

2020年9月、セルビアの空気中の二酸化硫黄(SO2)は1645mgを記録し、当局基準である125mgの10倍以上となった。現地裁判所は紫金砿業集団に3回の罰金を科しているが、セルビアの関連法律では、罰金は2万6000ユーロ(約327万円)以上にはならない。

ビュティコファー議員は、「汚染や環境破壊が他国にも影響するため、外国投資家が欧州基準を無視したり、避けたりすることは許されないことだ」と批判した。

超党派の欧州議会議員は現在、バルヘリ欧州委員に対して、セルビア政府がEU規則と国内法への遵守を要求する必要があるとしている。議員らは、中国の投資プロジェクトは透明性と持続可能性を欠き、環境破壊だけでなく、政治腐敗などの影響をもたらすとみている。さらに、「欧州連合はセルビア政府に対し、中国投資の影響に対処するよう求める」と付け加えた。

中国の支援を積極的に受け入れる「私たちの唯一の味方」

セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は、中国について「私たちの唯一の同盟国」とするなど、支援や協力協定の受け入れに積極的だ。オンラインメディア・バルカンインサイトによれば、国内世論の統制や世界的な評判に敏感な両国の指導部は利害一致しているという。ブチッチ大統領は、国民に対して「セルビアは世界レベルの強国(中国)を友人に持っている」とし、西側諸国での立場を高めたと宣伝している。

セルビアは中国共産党主導の広域経済圏構想「一帯一路」が始まる以前から、中国の支援を受けている。中国は主に国営企業を通じて、セルビアに計約40億ユーロ(約504億円)の投資を行っている。さらに、鉄道や道路などインフラ整備のための50億ユーロ(約630億円)の融資を約束している。

中共ウイルスの世界的流行に対しても、セルビアは欧州諸国内では最も早く、中国からの援助と専門知識の供給を求めた。独ドイチェ・ベレ1月26日付によれば、すでに100万回分の中国シノベック社の不活化ワクチンが提供された。同社のワクチンはファイザーやモデルナのワクチンよりも安価で、保管や運送しやすい。しかし、中国ワクチンの有効率は75%から80%程度との報道があり、ワクチン製造会社も多数の副作用があることを認めている。

セルビアの首都ベオグラードには、欧米から安全保障上の懸念があると指摘されている中国華為技術(ファーウェイ)のAIカメラ数千台が設置されている。警察当局によると、この取り組みは首都をより安全にし、今後更に多くのカメラを設置する見込みだ。

欧州投資銀行の2018年9月に報告書によれば、中国によるバルカン諸国への投資は、持続不可能な債務や中国依存度の増大など、大きな落とし穴を伴うと警告している。

中国企業による建設プロジェクトの運営には、欧州での労働慣行や社会基準に合致せず、現地経済に貢献が少ない事例も多いと指摘されている。2014年12月にセルビア・ベオグラードで開通したドナウ川を跨ぐ1500メートルのミハイル・プピン橋の建設工事は、中国路橋工程(CRBC)が請け負った。欧州最初の大型インフラ受注として注目されたが、CRBCは200人の建設労働者を中国から動員した。

(翻訳編集・佐渡道世)

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