大紀元時報

米軍のアフガン撤退 人道危機は防ぐことができたはずだ=米軍元大佐

2021年8月29日 21時00分
米軍の輸送機に乗り込む人々(Photo by PIERRE-PHILIPPE MARCOU/AFP via Getty Images)
米軍の輸送機に乗り込む人々(Photo by PIERRE-PHILIPPE MARCOU/AFP via Getty Images)
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8月の最初の2週間で、米軍アフガニスタンからの撤退は屈辱的な敗北に喫した。米国は外交的そして心理的な打撃に苦しんでおり、それは世界のいたるところで反響をもたらしている。これは間違いのないことだ。

9.11以来、アフガニスタンにおけるアメリカの本質的な任務について、私は「Guard Duty(警護任務)」と呼んできた。その言葉を最初に使ったのは2012年のことだった。国内外で米国の国家安全を保障するために、米軍は過激派イスラムテロ組織を攻撃し、損害を与えなければならなかった。それはつまり、イエメンやソマリア、アフガニスタンなどの無政府地域における彼らの拠点を無力化することを意味する。

無力化すると言っても、私たちがそれらの場所を占領しなければならないという意味ではない。そして、私たちがそれらの場所で国造りや文化の変革に取り組む必要もない。それはあまりにも膨大すぎる課題なのだ。

米軍は海からイエメンとソマリアを攻撃することができるが、内陸国のアフガニスタンに手を焼いている。最寄りの空軍基地から出撃しても6〜7時間はかかる。アフガニスタンでの警護任務は、現地で部隊を展開し、主としてアフガニスタン軍に対する支援や、航空機への燃料補給を行うことだ。ときには、テロ組織の指導者など、価値の高い標的に対して空襲や地上作戦も展開する。米軍特殊部隊がテロリストのウサマ・ビン・ラディンを射殺した作戦の際も、アフガニスタンが出発地点だった。

防衛および諜報関係者の多くは、警護任務が不可欠なものであると認識している。アフガニスタンに国家としての枠組みを作り上げることができれば、民主主義を支持するアフガニスタン人は自らの安全を保障することができるようになるとさえ考えられていた。私たちは確かにその方向に向けて努力した。しかし、アフガニスタンの腐敗により散々な結果になった。

米軍が2019年半ば以降にアフガニスタンで行った作戦はほどんど警護任務だった。米軍の最後の死者は2020年2月のときだった。民主化を支持するアフガニスタン政府の軍隊と警察治安部隊が戦闘の大部分を行っていたのであり、米国とNATOは航空支援と火力支援、そして諜報の支援だけだった。この支援があったおかげで、アフガニスタン政府はタリバンに敗北を喫することはなかった。この膠着状態は、警護任務を遂行する米軍に好都合だった。

残念ながら、左派だけではなく右派の報道機関まで、米軍アフガニスタンにおける駐留を「終わりのない戦争」と呼んでいる。この現実世界において、「終わりのない戦争」とは何を意味するのか理解できないため、私はあえて括弧をつけてみた。ハリウッド映画のように、戦争にもはっきりとした始まりと終わりがあるとでも考えているのだろうか。それは現実とかけ離れた空想に過ぎない。「終わりのない戦争」という言葉は怒りを表現するのにもってこいだが、現場の問題を解決することはできない。

事実、米軍アフガニスタンよりもはるかに長い間韓国に滞在してきた。いまだに北朝鮮と韓国の間で平和条約が結ばれていない。アフガニスタンが米国にとっての最も長い戦争だと言うべきではない。

アメリカが撤退したからアフガニスタンでの戦争はもう終わったなどとは到底言えない。2021年7月、膠着状態は終わりを告げ、西側諸国の航空支援を失ったアフガニスタン政府軍は一気に崩壊した。バイデン政権は、タリバンの奇襲攻撃に対抗しようとはしなかった。そしてタリバン米軍撤退したあとの空白を埋めた。アルカイダやイスラム国、そして他のテロ集団もアフガニスタンに戻ってくる恐れがある。

民主主義を支持するアフガニスタン人は、アメリカが彼らを保護し、避難場所を提供してくれると思っていた。国務省の官僚は、ビザ申請の処理には12〜18か月かかると述べている。その間、タリバンの処刑部隊は逃げ遅れた数万人もの人々を虐殺する恐れがある。

アメリカはもっと上手く対処できたはずだ。秩序ある撤退が実現していたら、多くの人命を救うことができ、アフガニスタン政府も崩壊を免れたかもしれない。そのためにNEO、すなわち非戦闘員避難作戦があるのではないだろうか。

米軍非戦闘員避難作戦に非常に熟達している。アフガニスタンと同じ広さの地域を対象とする場合でも、統合参謀本部が上手に調整を行い、国務省が安全な第三国に難民収容施設を確保できさえすれば、30日から45日程度で計画から準備までできたはずだ。少なくとも、タリバンによって安全を脅かされているアフガニスタン人が大勢国内にとどまっている状況で、バグラム空軍基地から撤退するという決定を下したことは、まったくもって愚かなことだった。


オースティン・ベイ

米国陸軍予備役で大佐として軍務に当たった経験を持ち、現在はテキサス大学オースティン校で戦略理論の教鞭を執る傍ら、執筆活動を行っている。最新の著書は「地獄のカクテル:21世紀を形作る5つの戦争」。

(翻訳編集・橘友里)

※この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。

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