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トランプ大統領 就任100日で示した主な成果と課題

2025/04/30
更新: 2025/04/30

就任から100日を迎えたアメリカのトランプ大統領は、不法移民対策、関税政策、インフレ抑制といった多方面において成果と課題が明確になった。

1月20日に、トランプ大統領がホワイトハウスに復帰し、4月29日で就任100日を迎えた。この間、数々の重要な改革を主導し、アメリカ国民に対して、選挙公約の実現をアピールしてきた。この100日間における公約の実現状況と、いまだ進行中の課題を以下に整理してみよう。

1. 不法移民の厳格な取り締まり

最新の国境データにより、国境管理において、顕著な進展を遂げたことが確認できる。不法越境者数は2024年12月の4万7324人から、2025年2月には8346人、3月には7181人へと減少した。

さらに、移民・関税執行局は、全国規模で大規模な逮捕と送還作戦を展開し、不法移民対策を強化した。

2. 物価の引き下げ

2022年に9.1%へと達していたアメリカのインフレ率は、トランプ大統領の再登場以降、1月には3%、3月には2.4%にまで低下した。

FRBは関税政策が一部の商品価格に影響を与える可能性を警告しているものの、政権は関税を交渉手段として活用し、多国間・二国間の貿易協議を積極的に展開してきた。その結果、多くの外国資本がアメリカに流入し、国内での工場建設を後押ししている。今後は関税の物価への影響を慎重に見極める必要がある。

3. エネルギー費用の引き下げ

物価の一要素として、エネルギー費用は重要であり、選挙期間中、トランプ氏は、エネルギーコストの削減を公約し、有権者が水道光熱費の明細で、その効果を実感できると明言していた。

米労働統計局のデータによれば、2025年3月におけるエネルギー価格は明確に下落し、ガソリン価格は2月比で6.3%、前年同月比で約10%の減少、燃料油価格は2月比で4.2%、前年同月比で7.6%の減少となった。エネルギー費用を半減させるという目標にはまだ未達であるが、就任からわずか数十日で、この成果を得た点は、注目に値することだ。

4. 戦争の終結

トランプ大統領は選挙中、ロシア・ウクライナ戦争の早期終結を何度も公約として掲げた。

トランプ陣営は、ロシアおよびウクライナとの対話を継続しているが、現時点で戦争終結には至らず、最近、大統領はロシアまたはウクライナのいずれかが意図的に交渉を妨げた場合、アメリカは、和平合意に向けた支援を停止する意向を表明した。

また、ガザ戦争の解決も公約の一つであったが、現在もイスラエルとハマスの衝突が続いている。

5. グローバル関税

トランプ大統領は、他国による不公平な貿易慣行を是正することを選挙中に掲げ、就任直後に新たな関税政策を導入した。現在、アメリカは輸入自動車および鉄鋼・アルミ製品にそれぞれ25%の関税を課している。

4月2日には、グローバル関税政策を発表し、数十カ国に対して対等な関税制度を導入した。

しかし4月9日には、公正な貿易の実現を最終目標とし、「中国以外」の国々に対する90日間の関税適用を一時停止し、貿易協定締結のための交渉期間を設けた。一方で、10%の基準関税は継続中である。

日本、韓国、ベトナム、インド、EUなどは、アメリカと交渉を開始し、自国製品に対する関税引き下げや、エネルギー購入、アメリカへの投資について議論を進めている。

ホワイトハウス関係者によれば、これらの国々との交渉は、顕著な進展を見せているという。

ただし、米中間の貿易摩擦は継続しており、アメリカは中国に対して、145%の追加関税を課し、中国側も125%の報復関税を設定している。

6. 減税

現時点では、トランプ大統領が提案した減税策はまだ実現に至っておらず、トランプ大統領は議会内の共和党に対し、減税政策への支持を促している。

7. 政府支出の削減

トランプ大統領は就任後、「政府効率化省」を設立し、連邦官僚機構の縮小と無駄遣いの防止に取り組んだ。
3月24日までに、マスク氏の指導のもと、「政府効率化省」は人員削減、資産売却、契約取り消しなどの措置を実施し、アメリカの納税者に対して1150億ドルの節約効果をもたらした。

8. 教育改革

3月20日、トランプ大統領は大統領令に署名し、「教育省解体」の手続きを開始した。
ただし、教育省を完全に廃止するためには、議会の承認が必要であり、現時点では、上院で60票が必要となる。つまり、この決定の実現には、民主党の協力が不可欠である。また、教育省の廃止に対しては、教職員組合による法的な抵抗も予想され、さらに、トランプ大統領は、キャンパスでの反ユダヤ主義対策を進め、「テロ組織支援」や「アメリカに敵対的」とみなされる外国人学生に対し、ビザの取り消しを実施した。すでに数千人の留学生が対象となったという。

9. エネルギー産業の支援

エネルギー政策において、トランプ大統領は一貫して強硬な姿勢を取ってきた。就任直後に「グリーン・ニューディール」の終了を宣言し、電気自動車に対する補助金を撤廃した。さらに、「全国エネルギー緊急事態」を宣言し、石油と天然ガスの大規模採掘を推進することで、インフレ問題の解決を図った。

10. DEI計画の廃止

トランプ大統領は、選挙期間中から「覚醒文化」への反対を明確に示し、就任後には、連邦機関に対し、DEI(多様性、公平性、包括性)計画の廃止を命じる大統領令に署名し、実績主義に基づく「優先的雇用機会」の制度を復活させた。彼はDEIや「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」を「違法な差別」と位置づけた。
DEI計画とは、職場における女性、マイノリティ、LGBTQ+などの代表枠を重視する「多様性、公平性、包括性」政策を指し、同時に、トランプ大統領は、連邦資金が「不正確なイデオロギー」とされるプロジェクトの拡大に、使われることを禁止した。

11. トランスジェンダー選手の女子競技参加禁止

トランプ大統領は就任後、大統領令に署名し、生物学的男性(トランスジェンダーを含む)の女子スポーツ参加を禁止した。さらに、最高裁判所に対し、トランスジェンダー兵士を軍から排除するという自身の政策を阻止する、下級裁判所の判決を覆すように求めた。