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中国共産党 フーシ派の対米戦術を研究 イエメン内戦と紅海危機の現実

2025/05/07
更新: 2025/05/07

イエメンの武装組織フーシ派が紅海で攻撃行動を継続するなか、中国共産党は、その戦術を分析したと言う。一方、米軍との交戦では、フーシ派の攻撃効率が低く、専門家は、中国が得られる教訓の範囲は、限定的だと言う。

5月6日、アメリカのトランプ大統領は、ホワイトハウスで行われたカナダのカーニー首相との会談中、記者団に対し、フーシ派が中東海域の航行安全を脅かす行動を停止することで、合意に至ったと発言した。この発表を受け、アメリカはフーシ派に対する爆撃作戦を中止すると宣言した。ただし、この停戦合意の持続性には不透明さが残り、フーシ派が再び船舶を標的にする可能性も存在するという。

オマーン・スルタン国(Oman、略称オマーン)は、アメリカとフーシ派の間での停戦合意を仲介した。この動きは、イスラエル・ハマス戦争の開始以降、イランと連携するフーシ派の政策に、大きな変化が生じたことを示している。オマーンのバドル外相は、フーシ派とアメリカが互いに攻撃行動を控え、紅海の国際商業航行の自由を確保する意向を示した。

フーシ派はアメリカとの対立の中で、ミサイルや無人機を多数発射して、イエメン周辺海域のアメリカ軍艦を狙った。しかし、数百発に及ぶ発射にもかかわらず、攻撃は一度も成功せず、アメリカ軍艦は一切の損害を受けなかった。

『ニューズウィーク』によると、中国共産党と台湾の双方が、フーシ派による大国との対抗経験を注視し、中国共産党は、アメリカ軍空母打撃群の作戦能力や弱点の把握を目指しており、台湾は大国から攻撃を受けた場合の生存戦略を模索中だ。

2023年10月以降、フーシ派は紅海を航行する軍艦および商船に対して、計137回の攻撃を実施し、そのうち民間商船2隻を沈没させた。この結果、フーシ派の武器による命中精度が極めて低く、速度の遅い商船にすら有効な打撃を与えることが難しい実態が明らかとなった。

フーシ派は弾道ミサイルや無人機を展示している(Hossein Beris/Middle East Images/AFP via Getty Images)

フーシ派の無人機、対艦ミサイル、弾道ミサイルは、精度に欠けるものの、アメリカ軍の高価な海軍資産に影響を及ぼした。たとえば、防空ミサイルの大量消耗、艦載戦闘機の損耗、戦艦の任務展開時間の延長などの問題が発生していた。

時事評論家の李林一氏は、アメリカ海軍が早期からフーシ派との作戦におけるコスト面の問題を認識していたと述べた。

アメリカ国防総省が導入した無人機「Replica」プロジェクトのように、アメリカ軍は低コストで中長期的な戦闘を維持する戦略を追求し、このような状況を踏まえ、中国共産党がフーシ派の対米戦術から得られる知見は限られており、研究の成果が乏しいまま終わる可能性が高いと考えられる。

現在、フーシ派は、イエメン全土の約3分の1の領土と人口の70~80%を掌握し、首都サナアおよび紅海沿岸の重要港湾都市ホデイダを支配中だ。

2023年10月にパレスチナ・イスラエル間の紛争が激化して以来、フーシ派は、紅海を航行する軍艦や商船に対し無差別攻撃を行っており、その影響で紅海およびスエズ運河を通過する商船の数が大幅に減少した。

2025年3月15日、アメリカはフーシ派に対する大規模な空爆作戦を開始し、それに応じてフーシ派は、アメリカの空母や随伴艦に対して攻撃を実行した。

アメリカはこの軍事作戦を「Operation Rough Rider」と名付け、フーシ派の目標をこれまでに1千か所以上攻撃しており、作戦は50日を超えて継続中だという。

曹景哲