政府は6月5日、首相官邸で「米の安定供給等実現関係閣僚会議」の第1回会合を開催した。会議では、昨年夏以降の米の品薄と価格高騰を受け、消費者や生産者双方にとって安心できる米の供給体制を確保するための方策が話し合われた。議長を務めた石破茂総理大臣は、小泉進次郎農林水産大臣ら関係閣僚に対し、米価の安定化に向けた迅速な対応と、今般の価格高騰の原因やこれまでの対応策についての徹底した検証を指示した。
石破総理は会議で、「我が国の米生産は今後、農業者の急速な減少が見込まれるとともに、昨年夏の品薄をきっかけに米価が高騰するなど、主食である米の供給に対する国民の不安が高まっている」と述べ、消費者が持続的に安心して購入できる価格で米を提供すること、そして生産性向上による持続的な農業生産を通じた安定供給の必要性を強調した。
小泉農水相は、これまで政府備蓄米を想定よりも早く市場に供給するなどの対応を進めてきたが、今後も米価が落ち着くようスピード感を持って対応を続けるとともに、今回の価格高騰の要因や政府対応についての検証を行い、その上で短期および中長期の対策を検討するよう求められた。
加えて、石破総理は中野洋昌国土交通大臣に対し、政府備蓄米がスピード感を持って滞りなく配送されるよう、引き続き物流業者への働きかけを行うよう要請した。これは、備蓄米が消費者の手元に迅速に届くことで、価格の安定化と供給不安の解消を図るためである。
政策検証と中長期的な対策
農林水産省によれば、当面は米の品薄と価格高騰の要因を幅広く検証し、流通の可視化や生産量の実態把握なども進めていく方針である。加えて、米の生産調整(減反政策)の見直しや、新たな所得補償制度の導入も検討されている。これは、必要な生産量の確保と農家の経営安定の両立を目指すものである。

米価高騰の背景には、2023年の猛暑による不作、インバウンド需要の増加、流通構造の課題、減反政策や備蓄米放出の遅れなど、複数の要因が複雑に絡み合っているとされる。政府は備蓄米の放出や緊急輸入などの対策も進めており、今後も状況を注視しながら柔軟な対応を続ける構えだ。
今後、政府は今回の検証結果を踏まえ、短期的な価格安定策とともに、中長期的な農業政策の見直しや米の増産、生産性向上、流通改革などを進める方針である。官房長官や農林水産大臣を中心に、関係閣僚が一体となって対応にあたることが確認された。
関係閣僚会議の議長は石破茂総理大臣が務め、副議長には林芳正内閣官房長官と小泉進次郎農林水産大臣が就いている。そのほかの構成員は、村上誠一郎総務大臣、加藤勝信財務大臣、武藤容治経済産業大臣、中野洋昌国土交通大臣である。また、この会議には必要に応じて関係者の出席を求めることができるとされている。
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