中国 預け先と教育、一石二鳥の需要も

夏休みに「会社員体験」 中国の小学生に広がる新ブーム

2026/08/29
更新: 2026/08/29

ほかの子が経験していることを、わが子だけ知らないのは不安。急速に進むAIやテクノロジーの波にも乗り遅れさせたくない。

そんな親の焦りを背景に、中国で夏休みに子どもを企業へ送り出す「仕事体験」がブームになっている。

北京では、小学4年生の母親が7980元(約19万円)を払い、子どもを杭州の大手IT企業をテーマにした5日間のキャンプに参加させた。往復の航空券などを含めると、総額は1万元(約24万円)を超えた。

子どもたちは社員証のようなカードを受け取り、互いを「マネージャー」と呼び、チームでネットショップ運営などを体験する。実際に社員として働くのではなく、大手IT企業の仕事や雰囲気に触れるプログラムだ。

ほかにも、スーパーの商品仕分けやレジ係、カフェ店員、一日店長など、数百円から数千円程度で参加できる体験もある。一方、ITやAIなど新しい技術に触れることを売りにしたプログラムでは、数万円から十数万円以上するものもある。

人気の背景には、共働き家庭の事情もある。上海の6歳の女の子は、スーパーの仕分けやカフェ店員など、すでに多くの仕事を体験した。母親は、夏休みに祖父母だけに子どもの世話を任せるのは難しく、こうした体験が預け先にもなっていると話す。

ただ、実際には企業を見学したり説明を聞いたりするだけで、専門的な技術を学ぶわけではないケースも多い。それでも、「ほかの子に遅れさせたくない」という親の不安から、参加費を払う家庭は少なくない。

中国のネットでは、「親の焦りを現金に換える商売」と皮肉る声も出ている。

「将来のために、今できる経験を」。そんな親心が、夏休みの新しい過ごし方を生んでいる。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!