政府と沖縄県による最高協議機関「沖縄政策協議会」が11月6日、首相官邸で開かれた。開催は2013年以来、13年ぶりとなる。高市早苗首相や関係閣僚、9月の沖縄県知事選で初当選した古謝玄太知事らが出席し、沖縄振興予算の拡充や米軍基地負担の軽減、南西諸島を巡る安全保障上の課題などについて協議した。
沖縄政策協議会は、政府と沖縄県が沖縄振興などの重要課題を協議するため、1996年に設置された。内閣官房長官が主宰し、関係閣僚や沖縄県知事らが参加する。同協議会が長期間開催されなかった背景には、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡る国と県の対立がある。
2013年の仲井真弘多知事時代には、政府との協議を通じて沖縄振興予算の確保などが進められた。しかし、その後の翁長雄志知事、玉城デニー前知事の時代には、辺野古移設をめぐって政府との対立が続いたため対立が深まり、協議会は開催されない状態が続いていた。転機となったのは、今年9月の沖縄県知事選である。辺野古移設を容認する立場の古謝氏が初当選し、自民党が支援する勢力が12年ぶりに県政を奪還した。
古謝知事は就任後、政府との対話と協調を重視する姿勢を示し、高市首相に沖縄政策協議会の早期開催を要請。政府側もこれに応じ、今回の開催が実現した。
沖縄振興予算の増額と一括交付金の拡充を要請
今回の協議会では、2027年度以降の沖縄振興予算の確保と拡充が主要議題の一つとなった。沖縄振興予算は、本土復帰以来の歴史的、地理的、社会的事情を踏まえ、内閣府の沖縄担当部局に一括計上される特別な予算枠である。
2013年の協議会では、当時の安倍晋三首相が2021年度まで毎年度3千億円台の沖縄振興予算を確保する方針を表明していた。その後、国と県の対立の深まりや事業の精査などに伴い、2022年度以降は2600億円台への減額調整が続いていた。
古謝知事は今回の協議会で、2027年度予算に向けた沖縄振興予算の増額を要請した。また、県が比較的自由に使途を決められる「沖縄振興一括交付金」のソフト・ハード両面での拡充や、沖縄県に適用されているガソリン税などの軽減措置の延長も求めた。
これに対し、高市首相は「沖縄振興策を国家戦略として、総合的・戦略的に推進していくことが重要」とした上で、「沖縄の『基地負担軽減』を目に見える形で実現できるよう、力を尽くす」と述べ、関係閣僚に対し、2027年度政府予算案の編成に向けて、沖縄県側の要望を具体的に検討するよう指示した。
普天間飛行場の早期返還と米兵犯罪の再発防止
米軍基地負担の軽減も重要な議題となった。沖縄県には多くの米軍施設・区域が集中しており、基地負担の軽減や米軍関係者による事件・事故の防止が長年の課題となっている。古謝知事は、米軍普天間飛行場の早期返還を求めるとともに、具体的な返還期日を明確にするよう政府に要請した。
また、10月に発生した米海兵隊員による強盗殺人事件についても協議された。事件を受け、地元では不安と反発が高まっており、高市首相は事件に強い遺憾の意を示し、再発防止を徹底する考えを表明した。茂木敏充外相からは、日米両政府が米兵に対する教育や規律の徹底策について合意したことが報告された。
これまで辺野古移設の是非を巡る対立が続いてきた国と県の協議は、今回、普天間飛行場の返還スケジュールや米兵の規律強化、事件・事故の再発防止など、具体的な基地負担軽減策にも重点が置かれた。
南西諸島の防衛力強化と住民の安全確保
協議会では、南西諸島の安全保障環境への対応も課題となった。南西諸島(約1200キロ)は日本の安全保障上、重要な位置にある。防衛省は、陸上自衛隊第15旅団の師団への改編などを進めている。これらは南西地域における抑止力と対処力を強化する取り組みの一環である。
一方、防衛体制の強化に伴い、地域住民の安全確保や有事の避難計画、基地周辺の生活環境への配慮も課題となっている。高市政権には、南西諸島の防衛力強化を進めるとともに、地域経済の振興やインフラ整備、基地負担の軽減を一体的に進めることが求められている。
13年ぶりの協議再開、今後の予算編成が焦点
今回の沖縄政策協議会は、長年にわたって辺野古移設を巡る対立が続いてきた国と沖縄県が、改めて対話する機会となった。今後は、2027年度政府予算案の編成で、沖縄振興予算の増額や一括交付金の拡充がどの程度実現するかが焦点となる。
また、普天間飛行場の返還に向けた取り組みや米兵による事件・事故の再発防止策、南西諸島の防衛力強化に伴う住民の安全確保についても、政府と県の具体的な対応が問われる。
13年ぶりに再開された協議会が今後も継続的に開催され、沖縄振興や基地負担の軽減に向けた具体的な成果につながるかが注目される。
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