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第二次大戦中、多くのユダヤ人児童を救出し「2500人の子どもの母」と称えらえたイレーナ・センドラーさん(Mariusz Kubik提供)

第2次大戦時、ナチスから2500人の子どもを救った女性

 【大紀元日本5月9日】米コロンビアテレビ局(CBS)は先月19日、「The Courageous Heart of Irena Sendler(イレーナ・センドラーの勇気ある心)」というドラマを放送した。これは、第2次世界大戦時、ドイツ支配下にあったポーランドで慈善活動家だったイレーナ・センドラーさんが2500人のユダヤ人児童をゲットー(ユダヤ人集中キャンプ)から救出した真実の物語である。

 ドイツ人のオスカー・シンドラーがドイツ国内で多くのユダヤ人を救ったことは、スピルバーグ監督の映画「シンドラーのリスト」によって世界的に有名となったが、イレーナさんの物語はいまだによく知られていない。

 イレーナ・センドラーさんの名が世に出たきっかけは、1999年、米カンザス州の学生たちが高校の教師の勧めで、彼女のことを調べたことがきっかけだった。その後彼らはイレーナさんの半生を「Life in a Jar (瓶の中のいのち)」という題名で脚本化し、全米、カナダ、ヨーロッパなどで公演を行ううちに、徐々に注目が集まるようになっていった。

 1910年2月生まれのイレーナさんは、第2次世界大戦時、ポーランド・カトリック教会のソーシャル・ワーカーで、ユダヤ人に協力する地下組織ジェゴタ(Zegota)のメンバーだった。イレーナさんの父親は、ユダヤ人をはじめとする貧しい人々の治療にあたる医師だったが、当時流行していたチフスに罹り、彼女が7歳のときに亡くなった。父親の心を受け継ぎ、幼い頃からユダヤ人に対して同情的だったイレーナさんは、一部の大学がユダヤ人に対して行った座席隔離政策に反対したため、ワルシャワ大学から3年間の停学処分を受けた。

 1939年、ナチス・ドイツがポーランドへ侵入したとき、彼女は人の協力を得て約3千枚の偽造証明書を作り、多くのユダヤ人を救出した。当時は、ユダヤ人を匿ったことが知られると、家族全員が処分されるという非常に危険な時代だった。

 1942年、ジェゴタが設立された時、イレーナさんは児童部門の担当になった。当時、ユダヤ人のゲットーで発生していたチフスの感染を恐れて、ナチス兵士らは同地区への接近を避けていたが、社会福祉課に勤務していたイレーナさんは、「チフス感染の状況を見るため」という名目でワルシャワのゲットーに自由に出入りすることができた。彼女はこの機会を利用して、箱やスーツケース、手押し車などにユダヤ人の子供や乳幼児を隠して、彼らをゲットーから脱出させた。時には子供たちを「荷物」に見せかけ、彼らを救急車や路面電車で運び出し、2,500人にも上る幼い命を救った。彼女は子供たちを、ポーランド人の家族や孤児院、神父の家などに預け、将来子供たちが家族の元へ戻れるように、子供の身元などが書かれたメモを瓶の中に隠して埋めた。

 1943年、イレーナさんはナチスに拘束された。手足を骨折させられるなどのひどい拷問を受けながらも、ジェゴタのメンバーに関する自白を拒否したイレーナさんは、死刑を言い渡されたが、ジェゴタのメンバーはナチス警察を買収し、イレーナさんが処刑場に向かう途中で救出することに成功した。九死に一生を得たイレーナさんはその後、身を隠しながらユダヤ人の子供たちを援助する活動を続け、リストが入った瓶を掘り出して子供たちを親元に送り返そうとしたが、殆どの親は集中キャンプで死亡、あるいは行方不明になっていた。

 2003年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は自らイレーナさんに手紙を宛て、第2次世界大戦時下における彼女の功績を称えた。さらに、彼女はポーランド最高の栄誉であるホワイト・イーグル勲章を含むその他の賞を受賞し、2007年3月、ポーランド上院がイレーナさんを称え、ポーランドのレフ・カチニスキ大統領は97歳のイレーナさんを「ノーベル平和賞にノミネートすべきだ」と称賛した。同年4月、イレーナさんは子供たちへの慈愛を表彰され、「微笑み勲章」を授与された。2008年、イレーナさんは享年98歳でこの世を去った。

 (記者・曾去執、翻訳編集・余靜)


 (09/05/09 16:53)  





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