<中共ウイルス>コロナに感染したジョンソン首相 イギリスと中国共産党の意外な関係

2020/04/20
更新: 2020/04/20

今月16日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)に感染し、治療していたボリス・ジョンソン首相が退院した。政権トップが回復したというニュースに、イギリス国民は安堵したことだろう。

しかし、政府高官の感染は偶然ではない。大紀元社説「このウイルスは中国共産党に狙いを定めている」で指摘したように、中国国外で感染が深刻な国と地域は、中国共産党と密接な繋がりがある。つまり、経済利益を理由に対中関係を推し進めた地域が、甚大な被害に遭っているのである。

それでは、ジョンソン首相と中国の関係を見てみよう。

華為の導入を容認したジョンソン首相

1月28日、ジョンソン政権は「コア部分」を除き、その他周辺機器については中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の参入を容認すると発表した。これは、安全保障上のリスクから華為の導入に反対した米国の意向を覆す決断だった。

一方、イギリス華為のビクター・チャン副社長はイギリス政府の意向に「安堵している」と発表した。1月30日、BBCはイギリス政府の決定について、「明らかに北京政府を喜ばせるだろう」と報道した。

危機感を抱いたイギリス与党・保守党議員20人余りが華為を排除する法案を提出したが、3月10日の英議会で否決された。

ロンドンの華為

イギリスは欧州の中でも特に華為との関係が深い。イギリス政府は華為製品の安全問題を認識しつつも、リスクは「制御可能だ」としている。

特に、ジョンソン首相就任後、イギリス華為はロンドンで存在感を増している。

2019年9月、ニュースサイト「ビジネスインサイダー」は、華為が密かにロンドンでAI(人工知能)研究センターを設立したと伝えた。場所はフェイスブックやグーグルが軒を連ねるキングス・クロスで、200人のエンジニアを採用する予定だという。華為は公式に発表していないが、同センターは華為が世界各国で構築している世界研究センター(オープン・ラボ)の一部になるとみられている。

2019年12月、華為はロンドンに「5Gイノベーションとエクスペリエンスセンター」を開設。同センターは、コクーンという欧州最大規模を誇る中国資本のコワーキングスペース内にある。

以前から親中派だったジョンソン首相

2019年7月、香港メディアはジョンソン首相が外相時代に受けたインタビューの様子を放送した。2018年1月に行われたインタビューで、彼は広域経済圏構想「一帯一路」について「とても大きな熱意」を抱いていると強調し、習近平主席の計画に関心を持っていると発言した。

また、彼はイギリスが中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に初めて参加した国であることに言及し、中国からの投資を促すコメントを繰り返した。

ロンドン市長時代のジョンソン氏

2013年10月、当時ロンドン市長だったジョンソン氏は事業促進を目的とした中国ツアーを敢行し、中国有数の起業家や投資家、高官らと交流した。彼の後押しにより、科学技術を促進するロンドンと北京の相互協定が結ばれた。

また、彼は市長在任中、ロンドンと上海という2つの金融拠点の連帯を推進した。2019年6月17日、念願の上海・ロンドン株式相互接続(ストック・コネクト)が正式に決まった。これは上海上場企業がロンドンに、ロンドン上場企業が上海に、それぞれ上場できる制度で、中国投資家によるイギリス企業への投資につながることが期待された。

ブレグジットの後で

EU離脱後、イギリスと中国の距離は更に接近した。EUの後ろ盾をなくしたイギリスは、経済や貿易面で中国の助けが必要となった。今やEUを除くイギリス最大の貿易相手国は中国である。

2019年1~8月にかけて、中国企業に買収されたイギリス企業は15社、買収価格は83億ドル(約8700億円)に上る。

2019年2月、アリババ系列のアント・ファイナンシャルは、ロンドンを拠点とする決済・両替企業 ワールドファーストを買収した。中国の投資会社ヒルハウス・キャピタルは2019年6月、スコッチウイスキーブランド「ロッホ・ローモンド・グループ」の株式を4億ポンドで取得し、筆頭株主となった。更に今年3月、中国の敬業グループ(Jingye)が、経営破たんした英国2位の鉄鋼メーカーを5000万ポンドで買収すると発表した。

2019年9月、香港取引所がロンドン証券取引所の買収を試みたが、これは失敗に終わった。香港取引所の最大株主は北京政府である。もし買収に成功していたら、中国共産党が欧州の金融市場を支配していたかもしれない。

イギリス独立党党首のナイジェル・ファラージ議員は「ニューズウィーク」誌の記事の中で、「イギリスが中国に売却されている」と危機感を露わにしている。

また、親中派はジョンソン首相の家族にも多い。

ガーディアン紙の報道によると、ジョンソン首相の父、スタンリー・ジョンソン氏は駐ロンドン中国大使の劉暁明氏と面談し、イギリス高官に劉大使の意向を伝えていた。ジョンソン首相がコロナ禍についてのお見舞いメッセージを北京に発信していないことに、劉大使が不満を示したのである。これは、スタンリー氏のメールにBBC記者がコピーされていたことから発覚した。中国がジョンソン首相の父親を通じてイギリス政府に影響を与えていたとしたら、憂慮すべきことである。

一方、ジョンソン首相の弟、ジョー・ジョンソン氏も対中関係には積極的だ。彼は大学担当大臣在任中、イギリスの大学の代表団を率いて中国視察ツアーを行った。中国の教育大臣らと対談し、レディング大学と南京情報科学技術大学(NUIST)の提携を取り付けた。

ジョンソン首相の異母弟、マックス・ジョンソン氏も中国と縁が深い。彼は北京大学でMBAを取得した後、香港のゴールドマン・サックスに入社した。現在は中国向けに製品を販売する企業を対象とした投資会社を運営している。

中国共産党と決別すること

大紀元は、今回の新型コロナウイルスを「中共ウイルス」と呼んでいる。なぜならば、このウイルスは中国共産党とその支持者を標的にしているからだ。

中国共産党の常套手段は、経済利益をエサに各国政府を黙らせることである。同政権と協力すれば、禍に見舞われる。ならず者政権から利益を得たら、その代償は必ずや大きいだろう。

中国共産党と決別することだけが助かる道である。ジョンソン首相がそれに早く気づくことを願っている。

(記者・田雲/翻訳編集・郭丹丹)