米IT億万長者、ビッグテックと中国共産党の癒着を非難

2021/04/12
更新: 2021/04/12

テクノロジー業界の億万長者であるピーター・ティール(Peter Thiel)氏は、米国の大手テクノロジー企業と中国共産党の癒着が深刻だと批判し、中国との関係を打ち切るよう求めた。

ティール氏は、リチャード・ニクソン財団が4月6日に主催したオンラインの円卓会議で、「中国ではすべてが軍民融合であるため、グーグルは実質的に中国軍に協力した事になる」と語った。このイベントには、ポンペオ前国務長官とホワイトハウスの前国家安全保障担当補佐官のロバート・オブライエン氏も参加した。

ティール氏はペイパルの共同創設者であり、フェイスブックの取締役でもある。

ティール氏が言及したのは、グーグルが2018年に米国防総省との契約を更新しないと決定したことについてだ。この契約は、「Project Maven」というプログラムの中で、ドローンの動画を分析する人工知能(AI)を米軍に提供するものだ。グーグルが同契約を中止した理由は、「AIを兵器システムに使うこと」を支持しないためだった。

しかし、グーグルは同じく2018年に中国の清華大学と協力して、新しいAI研究機関を設立することを決定した。

清華大学は、中国の軍事力に関する米国防総省の2020年の報告書に名前が挙がっている。報告書では、同大学の研究所は中国軍と提携していたり、中国共産党の軍事・民間融合戦略と関連しているとした。この軍事・民間融合戦略では、中国共産党が軍事開発のために商業技術を活用できるようにしている。

国務省はウェブサイトで、中国共産党の戦略には「軍事的優位を達成する」ために知的財産の窃盗が含まれていると警告している。

また、清華大学は中国国家国防科学技術工業局の監督下にある60以上の中国の大学の一つである。

都合の悪いことは「知らないし、質問もしない」

ティール氏はまた、グーグルの関係者の話によると、グーグルが中国と協力することを決定したのは「自社の技術を進んで提供した方がいいと考えた。提供しなくても、いずれ盗まれてしまうからだ」と述べた。

ティール氏は、グーグル関係者との別の会話の中で、グーグルのAI技術が中国政府によって、新疆ウイグル自治区での強制収容所の運営に使われているのかと質問した。

答えは、「私たちは知らないし、質問もしない」だった。

グーグルなどのテクノロジー企業が中国の特定の問題について沈黙を守っていることについて、ティール氏は「それは願望的思考の組み合わせだ。中国共産党にとって有用な愚か者だ」と述べた。

中国共産党は新疆ウイグル自治区でウイグル人を大量虐殺し、強制不妊、強制中絶、拷問、強制労働を行い、子どもを家族から引き離している。中国政府は100万人以上のウイグル人を収容所に拘禁しており、それを「職業訓練学校」と呼んでいる。

「私たち(米国)はAIの基礎研究で先行しているが、中国は顔認識などのAIを使って、国全体を監視社会に変えることを躊躇しない。この監視社会は、スターリン主義のロシアよりもはるかにプライバシーの侵害が酷く、全体主義的だ。私たちはこのような事を行いたくない」とティール氏は述べた。

ティール氏によると、フェイスブックが中国に対して厳しい態度を取れないのは、社員の多くが中国出身だからだと語った。彼は例として、2019年の香港での抗議活動に関する社員の間の議論を挙げた。

「香港出身の社員は全員抗議活動と言論の自由を支持したが、フェイスブックでは中国本土出身の社員の方が多かった」とティール氏は述べた。

「中国本土出身の社員は、『それは西洋の傲慢さにすぎず、香港側につくべきではない』と言った。そのため、フェイスブックの他の社員たちは抗議活動に関わらなかった」

名指しの非難

ティール氏はフェイスブックを例に挙げ、一部の米国IT企業が中国に対して厳しい姿勢を取れないのは、これらの企業の自己認識が理由だと述べた。

「これらの企業には『woke(社会的正義に敏感)』な政治観があり、彼らは自分たちを米国の企業だと認識していない」

中国が米国のテクノロジー分野に進出するのを阻止するために、ティール氏は「シリコンバレーに一定の圧力をかけ続け、容赦なく名指しで非難する必要がある」とアドバイスする。

「グーグルのような企業が、米軍ではなく中国とAIの研究に取り組む事を非難する必要がある」と彼は述べた。「中国でのiPhone製造に関して、アップルのサプライチェーン全体に大きな圧力をかけるべきだと思う」

アップルは近年、iCloudのデータを中国のサーバーに移行したり、クラウドソースのアプリHKmap.liveをアップルストアから削除したり、ティム・クックCEOが清華大学経済経営学部の会長に就任するなど、中国に関して多くの論争を巻き起こしてきた。

地図アプリであるHKmap.liveは、香港警察との直接衝突を避けるため、香港のデモ参加者の間で人気があった。香港警察はデモ参加者への暴力的な対応で強く批判されていた。

グーグル、フェイスブック、アップルにコメントを求めたが、回答は得られていない。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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