中国でいま、「スパイを見つける」という動きが急速に広がっている。社会には互いを疑う空気が広がり、外国人や留学生、外資系企業の社員までを疑いの対象としている。
きっかけは当局による国家安全の強化だ。4月中旬以降、政府系メディアやSNSで「スパイ対策」を呼びかける情報が一気に増え、市民の間でも「怪しい人を通報する」という空気が広がり始めた。
実際、ネット上では奇妙な「スパイ事例」が次々と拡散している。
配車サービスの運転手が乗客を撮影して通報したり、農民が外国人らしき人物を「怪しい」として追い払ったりする動画などだ。しかし、場所や時期などの詳しい情報は示しておらず、真偽は不明なものが多い。
こうした空気の中で、日常の行動にも影響が広がり始めている。
ネット上では、写真撮影や外国人との交流といった日常の行動が、根拠もなく「スパイ活動」と結びつけて拡散している。観光客や屋外で写真を撮る人が疑いの目を向けられ、公開の場で批判する例も出ており、不安が広がっている。
また、「スパイを見つけた」とする動画を投稿する配信者も増えている。中には緊張感をあおり、再生数や収益を狙ったものもあり、ネット上では賛否が分かれている。
こうした状況の中で、「外国人を見ると警戒してしまう」「写真を撮るのもためらう」といった声も出始めている。証拠よりも雰囲気で疑う空気が広がりつつある。
中国の学者は本紙の取材に対し、「これは単なる注意喚起ではない。人々が互いを疑う空気が生まれ、社会全体が不安定になっている」と警鐘を鳴らす。
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