「経営者が急きょ亡くなった」「毒蛇が出る」「風通しが悪い」「営業停止中」「システムエラー」。
一見すると営業不能を示すれっきとした理由だが、中国のホテルや民宿がこれらの理由を実際に使い、予約客にキャンセルを迫るケースが相次いでいる。その多くは、値上げのためだ。
中国版GWの大型連休を前に、各地のホテルや民宿で予約済みの客を追い出すトラブルが相次ぎ、波紋を広げている。
現地メディアによると、平時は100元(約2200円)前後の部屋が、連休中には5倍から6倍、場合によっては10倍にまで値上がりする例が続出している。
問題はそれだけではない。
広西チワン族自治区の女性は、2月の時点でGW期間の宿泊を4泊494元(約1万1千円)で予約していた。ところが4月末、ホテルから突然「経営者が亡くなり、店が閉鎖される」と連絡を受け、キャンセルを急かされた。女性はこれを信じて予約を取り消したが、その後、ホテルは通常通り営業しており、同じ部屋を値上げし再び販売していたことが分かった。この件については、当局が立ち入り調査を行っている。
深圳や貴陽などでも、「部屋の風通しが悪い」「営業停止中」「システムエラー」などの理由で予約を取り消した後、同じ部屋を高額で再び販売するケースが報告されている。SNSではこうした苦情が2千件以上投稿されているという。
浙江省杭州市の千島湖周辺(湖に大小の島が点在する人気の観光地)でも同様の事例が起きた。男性がネットで約2千元(約4万4千円)で3泊予約したところ、翌日になって宿側が1泊3千元への値上げを要求。拒否すると「毒蛇が出る」「衛生管理は自分で行う必要がある」「安全は保証しない」などと説明し、事実上キャンセルを迫った。男性が苦情を訴えた結果、世論の批判を受けて地元当局が調査に入り、宿側は客に連絡して補償を行った。
ネット上では、「これは便乗値上げだ」「お金の前では約束が無意味になるのか」といった批判の声が相次いでいる。「予約して支払いを済ませた時点で契約は成立しているはずだ」「違反した場合は厳しく罰するべきだ」といった意見も多い。
中国では大型連休のたびに同様の問題を繰り返しており、目先の利益を優先するやり方が背景にある。
一度結んだ約束が簡単に覆される状況が続けば、安心して旅行を計画すること自体が難しくなる。信頼を軽視する行為の積み重ねは、やがて観光市場そのものの信用を揺るがしかねない。
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