【独自】頭に銃口突きつけられ、危機一発…中国人家族決死の渡米、ワクチン問題も一因に

2024/04/08
更新: 2024/04/08

「サブマシンガンの銃口を頭に突きつけられそうになった。身代金を払っても解放してもらえず、人生がこれでおしまいかと思った」

中国南部出身の李年さんは米国でエポックタイムズの取材に応じ、決死の想いで米国に亡命した一部始終を語った。中国本土で複数の美容サロンやマッサージ店を経営していた李年さんはなぜ、死の危険を冒しても故郷を離れようと思ったのだろうか。

危険な道中

冒頭で取材に応じた李年さんは、まさに九死に一生の思いで渡米した一人だ。2023年3月、妻と1歳の娘を連れて逃避行に出た。

中国から難民として渡米した李年さん(馬尚恩/大紀元)

中国からマレーシアに渡り、エクアドルに飛んだ。そこからコロンビアやパナマ、ニカラグア、グアテマラを北上して、メキシコ入りした。途中で十数回強盗に遭ったが、メキシコのカルテルが一番恐ろしかったと李年さんは振り返る。

メキシコのメヒカリ(Mexicali)でバスに乗っていたときのことだった。サブマシンガンなどで武装したカルテルのメンバーが警察を装い、バスを止めた。100人ほどの乗客を降ろし、カルテルの車両に詰め込んだ。

カルテルの車両は次第に山奥へと入った。カルテルは乗客らを車から降ろすと、大きな建物に収容した。その後も続々と人々が連行され、建物には200人以上が詰め込まれた。

カルテルは乗客らに身代金を要求した。大人は一人につき3000ドル、子供は2000ドルだった。李年さんは仕方なく親戚や友人に頼み込み、一家3人分の身代金をかき集めることができた。

しかし、カルテルはなかなか人質を釈放しなかった。

「当時、幼い娘は風邪で、ひどい咳をしていた。部屋は人が密集し、空気も悪かった。サブマシンガンの銃口を頭に突きつけられそうになった。身代金を払っても解放してもらえず、人生がこれでおしまいかと思った」

幸いなことに、メキシコ軍が救援に駆けつけ、一家は命拾いをすることができた。その夜、李年さん一家はレンタカーを借りて、徹夜でアメリカとメキシコの国境の街ティファナまで走った。一家は米国の入国管理局に拘束された後、難民の証明書を受け取った。

決死の逃避行はここでピリオドが打たれた。李年氏は「道中。多くの人々が命を落とした。私は幸運だった」と語った。

ワクチン問題

李年さんが中国共産党の真の恐ろしさを体験したのは、母親がワクチン接種を強制された後、この世を去った後だった。

李年さんは、中国のワクチンが臨時的に開発されたもので、安全性が担保されていないことを知っていたため、一家は接種をしなかった。しかし、中国共産党内部でワクチン接種のノルマが課されていたため、地元の役人は李年さんが留守の間に母親にワクチン接種を行った。

李年さんによると、母親は2回目の接種を終えてから腹部の痛みを訴えるようになり、検査すると末期ガンだと診断された。母親は数カ月後にこの世を去った。

「なぜ母親に健康診断をすることなくワクチンを接種させたのか。ガンだと分かっていれば接種すべきではなかった」

李年さんは居住する柳州市の保健当局に問い合わせたが、満足のできる回答はなく、言い争いになった。その後、李年さんは10日間拘束された。

李年さんは母親の死について、中国国内のSNS上でも注目を呼びかけた。当局は懲罰として15日間李年さんを拘束し、食事や水を多く与えない、長時間にわたって尋問を行うといった非人道的な対応を加えた。李年さんが経営する店舗も当局の嫌がらせを受け、正常に経営することが困難になった。

「中国共産党が支配するこの国から離れよう」。その一念がストーリーの始まりだった。

「共産主義が支配する中国は法治国家などではない。人権もなく、人々が文句を言うことさえできない場所だ」と李年さん。「中国で生きていくのは『地獄』に住むのと同じだ」。

相次ぐ死亡事例

中国から国外脱出する人の数が急増するなか、トラブルや事件・事故も相次いで発生している。メキシコ・オアハカ州検察は3月31日(現地時間)、「プラヤ・ビセンテ村のビーチで死体を発見した。調査した結果、死亡者が中国出身であることを確認した」と明らかにした。

死亡者らはメキシコ南部の都市タパチュラでボートに乗って移動していたところ、ボートが転覆し死亡したという。当局は「ボート搭乗者9人のうち、1人だけが生存し、残りの8人はすべて死亡した」と説明した。

死亡者らの移動経路は、中国人不法移民がメキシコを経由して米国国境地域に行く主要経路の一つとされる。

中国共産党が厳格な「ゼロコロナ」措置を実施して以来、中国を脱出し、米国に不法入国する中国人の数は急速に増加している。米国政府の公式データによると、昨年、米国の国境地域で約3万7千人の中国人不法移民が逮捕された。これは2021年の50倍以上だ。

なぜ逃げるのか

米国で活動する時事評論家の唐靖遠氏は2日、エポックタイムズとのインタビューで、「このような現象には3つの主な原因がある」と語った。

唐靖遠氏によると、第1の原因は中国共産党の高圧的な統制手段だ。「中国共産党は体制の安定に重きを置いており、市民の生命と安全をないがしろにした。この点に気づいた人々が中国から逃げているのだ」。

第2の原因は政治的不安定だ。唐靖遠氏は「近年、中国共産党は国内情勢の不安定さを解消するために統制をさらに強化しており、多くの人々が恐怖を感じている」と述べた。

3番目の原因は暗い経済見通しだ。唐靖遠氏は「中国共産党の間違った経済政策により、企業が次々と倒産し、多くの人々が職を失った」とし、「彼らはもはや普通の生活を送ることが難しいと悟り、国外逃亡を始めた」と指摘した。

中国民主党全国委員会の王軍濤委員長はエポックタイムズの取材に対し、「中国共産党の過酷な『ゼロコロナ』政策により、中国の中産階級を崩壊させた」とし、「一瞬にして仕事を失い、借金を背負った人々が中国から逃げている」と明らかにした。

その上で、「メキシコのビーチで発生した死亡事故は悲劇的なことだが、これによって中国を脱出する人の数が減ることはないだろう」と断言した。「彼らはあらゆる手段や方法を活かして共産主義支配下の中国から逃げている。彼らはどのような危険をも覚悟している」と述べた。

李年さんは「私が米国に来たのは米ドルを稼ぐためではない。地獄から逃れたいだけだ」と語った。「娘が地獄のような環境で成長して欲しくないのだ。米国に来てから、娘はとても幸せだ」。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。
徐天睿
エポックタイムズ記者。日米中関係 、アジア情勢、中国政治に詳しい。大学では国際教養を専攻。中国古典文化と旅行が好き。世界の真実の姿を伝えます!
馬尚恩
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