米国 政府機関に中国AIディープシークの排除を指示 情報流出を懸念

2026/10/20
更新: 2026/10/20

米国土安全保障省は10月19日、連邦政府の行政機関に対し、情報技術(IT)システムから中国のAI企業「ディープシーク(DeepSeek)」の製品を削除し、同社のAIモデルを利用する第三者サービスの使用も禁止するよう求めた。機密情報が中国共産党(中共)政権側に流出する恐れがあるとしている。

国土安全保障省が連邦官報に掲載した通知によると、対象となる連邦政府機関は、システム内のディープシーク製品をすべて削除しなければならない。また、同社製品の調達に加え、ディープシークの技術を利用した第三者サービスの利用も禁止する。

同省は、ディープシークのAIモデルには「複数の脅威」があると指摘。政府職員や政府の業務を請け負う事業者が同社の製品を利用した場合、機密データが中共当局に送信される可能性があると懸念を示した。

今回の措置は米国のサイバーセキュリティー関連法に基づくもので、同社を連邦政府との契約から排除する内容となっている。

米国では、ディープシークが2025年初めに高性能AIモデル「R1」を発表し、世界の市場に衝撃を与えて以降、同社が米国の国家安全保障に及ぼす潜在的なリスクを注視してきた。

米下院の中共当局に関する特別委員会は、同年4月に公表した報告書「DeepSeek Unmasked(ディープシークの実態)」で、同社と中共政権との関係が「極めて密接」だと指摘した。

米国ではこれまでも、商務省や海軍など複数の機関が政府支給端末でのディープシークの利用を禁止している。ニューヨーク州、テネシー州、バージニア州なども同様の措置を講じてきた。

米当局が挙げた3つの懸念

国土安全保障省は、ディープシークの利用を禁じる理由として、主に3つの安全保障上の懸念を挙げた。

第一に、利用者のデータが中共政権のアクセス可能な状態に置かれる恐れがあることだ。 

同省によると、ディープシークは中国に拠点を置き、サーバーも中国国内に設置している。中国の法制度では、政府のネットワーク関連機関や情報機関に広範な権限が認められており、民間企業のインフラを通じて情報にアクセスできるという。

同省は、ディープシークのプライバシーポリシーや、2020年に公表した中国企業のデータサービス・機器の利用に関する注意喚起、スタンフォード大学のネットワーク政策研究センターによる分析などを根拠として挙げた。

第二に、アカウント情報や入力内容から機密情報が漏れる恐れがあることだ。 

連邦官報に添付された資料によると、ディープシークのホスティングサービスでは、アカウントの作成時に個人を特定できる情報が収集されるほか、利用者の追跡やデジタルフィンガープリントの作成が行われる可能性がある。

また、利用者が入力した指示文(プロンプト)などの情報が、中共当局に送信される恐れもあるとしている。同省は、こうした情報が公開情報と組み合わされれば、米国の政府職員や政府計画に関する情報収集に利用されかねないと指摘した。

第三に、ソフトウエアやAIモデル自体のサイバーセキュリティー上の問題だ。 

同省は、モデル自体に悪意のあるソフトウエアやその他のセキュリティー上の弱点が含まれる危険性を指摘した。根拠の一つとして、セキュリティー企業ナウセキュアが昨年2月に公表した調査を挙げ、ディープシークのiOSアプリに重大なセキュリティー上・プライバシー上の欠陥を確認したとしている。

林燕