=インタビュー=林保華:韓国の危険なゲーム

2005年11月24日 10時57分
 【大紀元日本11月24日】ブッシュ米大統領先週のアジア訪問中、大紀元は、ブッシュ米大統領と胡錦涛・中国国家主席が20日に会談する内容となる六ヶ国協議の難題やアメリカの対中戦略について、現在アメリカ在住の国際政治評論家・林保華氏にインタビューを行った。林氏は、六ヶ国協議に囲む韓国、中国と北朝鮮の関係、韓国のナショナリズム傾向と北朝鮮の煽動との関連などについて詳細な分析を展開した。以下は林氏に対するインタビュー内容の第一部。

 韓国の反米傾向は北朝鮮の煽動によるもの

 記者:北朝鮮の核兵器解除をめぐる六ヶ国協議がすでに3年も行われていますが、実質的な効果はほとんど見られないままです。最近の韓国の若者のナショナリズムおよび反米傾向について分析していただけますか。

 林氏:日本に対する韓国の態度から、韓国のナショナリズムの傾向が強いことが伺えます。昨年は「高句麗の歴史」をめぐり中国と争ったこともあります。韓国にはアメリカ軍が駐在しておりますし、外国の軍隊が駐屯するとなると、いくら厳しい規律を設けていても、多少現地の住民のナショナリズムを刺激することは避けられないでしょう。日本にもアメリカ軍がおり、反米感情を持つ日本人がいるのと同じことです。

 そのほかにも、現在の韓国のナショナリズムは金正日政権の煽動と関連していると思います。それはまさに今中共が台湾の民族主義者を扇動して彼らを「親共」に導いたのと同じことです。私は韓国で北朝鮮のスパイ、工作員が活動していないとは到底信じられません。一昔前、国民党との内戦時、中共は国民党の内部で地下活動をやっていました。彼らは学校などで読書会、友好会を組織して反国民党運動を行っていました。今の金正日もきっと同様な事をやっているでしょう。金正日政権は韓国にたくさんの工作員などを派遣し、韓国の青年の間で活動を行い、彼らの反米、親北朝鮮、南北統一の思想を吹き込んでいると予測できます。今の盧武鉉大統領が選挙時に掲げたのは「反米」でしたが、当選後はやはり現実に直面しないといけませんからある程度控えているのです。

 もちろん韓国の内部でも反米感情に対してはいろいろな見方があります。特に韓国の軍部のベテランたちは比較的に親米だと思います。彼らは朝鮮戦争を経験していますから、もしアメリカの援助がなかったら今の韓国も北朝鮮同様共産政権の独裁下に置かれていたことをよく知っているのです。北朝鮮では多くの国民が餓死しています。韓国の若者にはこういった経験がなく、北朝鮮のあの残虐な武装侵略のことも根本的に忘れてしまっています。国民党はかつて中共と必死で戦いましたが、いまや連戦は「親共」のため大陸を自ら訪れました。韓国もそれと同様であると思います。

 韓国のこのような「反米親共」傾向に対して当局が歯止めを掛けない限り、六ヶ国協議を通じた北朝鮮の核兵器解除は困難になるでしょう。 

 韓国は中国の力を借りて北を制約したい

 韓国と台湾は似たような経歴があるので元々とてもいい関係にありました。両国とも独裁政治から民主社会へと移行し、経済面でも著しい発展を遂げアジアニーズとなりました。しかし、韓国は近年台湾を見捨て、中共と国交を設立しました。その目的は中国を丸め込み、中国を通じて北朝鮮を制約するためです。イスラエルはアメリカと良好な関係を築いていながら、同時に中共の御機嫌をとることに必死です。目的は中共に中東のテロリストを制約してほしいからです。韓国の場合もこれと同じで、北朝鮮が中国の援助なしでは韓国に向けて武装侵略を発動できないことを韓国もよく知っているのです。これは政治面から見た見解です。

 経済面からの要素もあります。ここ数年、韓国と中国の経済関係は著しく発展しています。以前はアメリカが韓国の最大の輸出国でしたが、今は中国が第一位を占めています。以前韓国に対する最大の投資国は日本でしたが、今は香港を計算に入れると中国がその第一位となっています。

 このような経済関係は、中国の存在に対する韓国の依存度を高め、当初大陸に大規模進出した台湾資本が、今やすっかり縛られてしまったのと同じ状況にあるのです。中国に対する経済面でのこのような依存度は必ず政治にも影響を及ぼします。というわけで、六カ国協議で韓国はアメリカとは一定距離を保ち、中国に近寄ったわけです。 

 韓国の「親共」は北朝鮮の肝を大きくする

 記者:そうすると、韓国が中共に近寄ることによって、北朝鮮の核兵器解除の手助けになるのでしょうか。

 林氏:手助けにはなりません。他の国々が団結して北朝鮮を孤立させてはじめて、北朝鮮は核兵器を放棄するでしょう。現状では日米が一緒になり、中国、ロシア、北朝鮮が一緒になっていますが、韓国がまた中国側に近寄っているのです。これはまさに北朝鮮に勇気を与え、金正日の肝を大きくしているようなものです。最近の第5回会談でも何の成果を得られないままでしたが、これは北朝鮮側が援助を最優先に出しているからです。クリントン時代に、アメリカは北朝鮮に援助を行いましたが、北朝鮮は約束を守りませんでした。今回はアメリカも北朝鮮側の核兵器の放棄が最優先という強硬な姿勢を崩していないので、前に進まないのであります。今の矛盾点はここにあるのです。

 北朝鮮のようなごろつき政権と道理を重んじるのは無謀です。実力に頼るしかありません。軍事による圧力を加えなければ、北朝鮮はこちらを見向きもしないでしょう。以前はアメリカが北朝鮮に対し軍事力で制裁を加えていたのですが、現在は中国、ロシアがそれに反対し、韓国までが反対側にまわっています。韓国にはアメリカ軍の撤退を要求する人までいます。このような状況下でアメリカは手を出せなくなり、北朝鮮はこの3カ国を後ろ楯にますます怖いもの知らずになり、核兵器を解除するのはさらに困難になっています。

 アメリカも中共と北朝鮮のゲームに気がついた

 記者:北朝鮮は中共とアメリカの駆け引きの一枚のカードであり、金正日も中共をゆするベテランであると多くの専門家は見ていますが、アメリカは中共と北朝鮮のこのゲームに気がついているのでしょうか。

 林氏:以前は気がついていなかったと思います。冷戦時代、アメリカの主な相手はソ連であり、冷戦後は中共でした。中共はソ連とまた違い、アメリカとソ連は強いもの同士の強硬なぶつかり合いでしたが、中共の方が一枚上手で甘い言葉を並べます。アメリカ人は比較的頭が単純で率直だから、中共の甘い言葉をつい信じてしまいがちでした。

 このような詐欺まがいなことを何度も経験したので、アメリカも当然中共と北朝鮮のゲームに気がつきました。だから最近の六ヶ国協議ではアメリカが強硬な態度を崩さないわけです。

 
(大紀元記者・王珍)


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