米戦争省が進めている「終末計画」

2026/10/29
更新: 2026/10/29

大規模な戦争は電力網をまひさせ、供給網を寸断し、米本土の重要インフラを脅かす可能性がある。何よりも、米軍の作戦能力が脅かされる。米戦争省の「終末計画」は、外部からの支援がなくても、米軍基地が少なくとも90日間、運用を継続できる体制の構築を進めている。

FOXニュース・デジタルが確認した関連文書によると、この新たな要件は「FORTRESS」と呼ばれる、より広範な軍の終末計画の一環だ。FORTRESSは「Federal Operations for Resilience, Troop Resources, Energy, Supply, and Survivability」の略称で、軍が依存する民間システムに障害が生じても、米軍が戦闘を継続できるようにすることを目指す。

米戦争省は既に、主要な軍事施設の民間電力網への依存を減らす計画を発表していた。「90日間の自給自足」という基準は、そこからさらに踏み込み、電力供給だけでなく、軍事作戦の維持に必要なその他の各種サービスにも要件を広げるものだ。

「終末計画」の内幕

米戦争省のショーン・パーネル首席報道官は、FOXニュース・デジタルの取材に対し「国防の運用を、通常の民間・自治体のインフラに依存させたくはない。受け入れられないリスクを伴うため、そうすることはできない」と述べた。

米戦争省は、危機時に民間工場を国防向け生産に転換できるよう準備も進めている。同時に、代替供給網と戦略備蓄を整え、兵器や燃料、その他の必需物資の供給を維持しようとしている。

FORTRESS計画を率いるパーネル氏は「今日、電力は戦闘力そのものだ。電力がなければ、通信、給水、兵站、組立生産ライン、さらには最も基本的な軍の指揮系統まで失われる」と述べた。

FORTRESS計画では、米本土の主要軍事施設全てに、電力、水、燃料、通信などの必要な資源とサービスを確保し、基本的な機能を少なくとも90日間、独力で維持する能力が求められる。

この要件は、米本土への脅威に対応する米戦争省の戦略的な考え方が、より広範に変化していることを示している。大規模な紛争が、米国内で軍事作戦を支えるインフラを破壊する可能性も想定している。

パーネル氏は「本土防衛に関する従来の考え方の多くは、2つの大洋がわれわれを守ってくれるという、時代遅れの前提に立っていたと気付いた」と述べた。

「トランプ大統領は、その時代が終わったことを理解している。『ゴールデンドーム』防衛システムや、西半球、グリーンランド、パナマに再び重点を置くことなど、新たな防衛の考え方への道を開いた」と説明した。

中心的な懸念の1つは、通信や物流から兵器製造に至る軍事活動を支える民間電力網への依存だ。FORTRESS計画は、可搬型原子炉、大規模蓄電池システム、マイクログリッドの活用を構想している。軍事施設が民間電力網から切り離されても独立して運用できるようにし、長期停電の際にも機能を維持するためだ。

パーネル氏は「重要任務の遂行に必要な電力供給には、独立性、被害に耐える能力、予備の仕組みが必要だ」と述べた。

この戦略は、軍に兵器や装備、重要物資を供給する世界的な供給網が、深刻な混乱に見舞われる可能性も想定している。

パーネル氏は「将来の紛争は、複数の戦線で展開される可能性が高い。どの大規模な戦争についても、その背後にある地政学的要因を検討すれば、戦争が始まると世界の供給網が断ち切られることが分かる」と述べた。

これに備え、FORTRESS計画は、弾薬、燃料、重要鉱物、電子製品、予備部品、医療物資の戦略備蓄を求めている。国際的な供給ルートが途絶えたり、国内メーカーが戦時の需要を満たせなくなったりした際に、これらの備蓄で軍事作戦の継続を支える。

備蓄目標は、大規模な紛争時の物資の消費速度と、メーカーが補充に必要とする時間に応じて異なる。

また、軍の最も重要な国防物資の需要については、要件を満たす供給経路または生産経路を少なくとも2つ確保することを定めている。単一の工場や供給業者、工業生産能力が失われたことで、軍事作戦が中断するリスクを減らすためだ。米国の民間製造業が戦時動員を支援できるよう備えることも、計画の重要な柱となっている。

米戦争省は「民間予備製造ネットワーク(Civil Reserve Manufacturing Network)」を通じ、危機時に国防向け生産に転換できる商業工場を特定する計画だ。

「終末計画」には、エネルギーと製造業に加え、軍の通信、航法、衛星の能力を強化し、妨害に耐えられるようにする措置も含まれる。GPS信号が妨害されたり、宇宙配備の設備が破壊されたりしても、軍事作戦を継続するための準備もその一環だ。

これらの措置は、長期紛争における民間インフラや脆弱な供給網への軍の依存を減らすことを目指す。

「国家の保険」

米戦争省はFORTRESS計画を「国家の保険」と位置付ける。従来の供給網が途絶えても、米国が必要な物資を確保し、軍事作戦を維持できるようにするためだ。

ヘグセス戦争長官は覚書で、この取り組みは、エネルギーの自立、供給網と防衛産業基盤の強靱性、戦略的な国防備蓄、軍事施設の防護強化とネットワークの強靱性、宇宙と電磁スペクトル領域の強靱性という5つの柱に基づくと記した。

ヘグセス氏によると、米戦争省はこれら5つの柱を通じ、各軍事基地の取り組みを調整する。これは決して後退ではなく、米国が国外に戦力を展開するための基盤だ。「供給を断たれず」「まひせず」外部から「孤立しない」米本土を築くとしている。

2022年2月に始まったロシア・ウクライナ戦争は、民間の発電所と電力網の重要性を浮き彫りにした。これらの施設は一般市民にとっても、全面戦争下の軍事作戦にとっても不可欠だ。また、この戦争は、戦時におけるエネルギー供給と兵站の脆弱性も浮き彫りにした。

 

責任編集:林妍

張婷