米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は5日、州内の死刑囚548人全員の刑を、仮釈放の可能性がない終身刑に減刑すると発表した。実現すれば州史上最大規模の恩赦となる。対象者の内訳は男性529人、女性19人。
来年1月に任期満了を迎えるニューサム知事は、州民に宛てた公開書簡で今回の方針を明らかにした。書簡では「公職に就いて約30年、政府が正義にかなう形で実現できることには限界があると理解するようになった」と振り返った上で、「州公認の殺人(死刑)はカリフォルニアの価値観と相いれず、法制度の根幹を損ない、我々一人一人の尊厳を傷つける」との考えを強調した。
「不完全な法制度の下で人の命を奪いながら、正義と人間の尊厳という基本的価値観に忠実であり続けることはできない」とも述べた。
最も凶悪な犯罪者まで恩赦の対象にすべきではないとの批判があることにも触れ、事前に犯罪被害者らと対話を重ねてきたと説明。「被害者は誰もが、自らの喪失を『最悪の中の最悪』の出来事として受け止めている」と語った。
ただし、減刑の大半は州最高裁判所の判断を経なければ発効しない。州憲法の規定では、複数の重罪で有罪判決を受けた受刑者の減刑には、最高裁の勧告に加えて判事4人以上の賛成が必要となる。
知事は最高裁に提出した書面で、対象者のうち382人がこの条件に該当すると説明し、任期終了までに減刑を実施できるよう、年内に勧告を出すことを判事らに求めた。
ニューサム知事は就任直後の2019年3月、死刑執行の一時停止を宣言していた。同州で死刑が最後に執行されたのは2006年で、当時の知事は共和党のアーノルド・シュワルツェネッガー氏だった。死刑制度自体は州法上今も存続しており、後任の知事が停止措置を解除すれば、今後の死刑判決に影響を及ぼす可能性がある。
2016年の住民投票では、死刑制度の廃止案は否決された一方、死刑判決への上訴手続きを迅速化する案は可決されている。
死刑制度を巡っては、全米で議論が再燃していた。テネシー州では9月30日、殺人罪で有罪となったクリスタ・パイク死刑囚の執行が失敗に終わり、同死刑囚は病院での治療を経て10月10日に刑務所へ戻された。
また、ヘグセス米国防長官が、2009年にテキサス州のフォートフッド陸軍基地で13人を殺害した大量殺人犯、ニダル・ハサン死刑囚の銃殺刑をライブ配信する計画を明らかにし、波紋を広げていた。
これに対しトランプ大統領はその後、自身のSNS投稿で配信は行わないとの考えを表明。映像配信には米国がテロリストにどう対処するかを世界に示す効果があるとの見方を示しつつ、「非常に善良で善意を持った多くの人々は、配信であれ他の映像手段であれ、彼が死ぬところを見たくないだろう」と理由を説明した。
ハサン死刑囚は2009年11月、フォートフッド基地で13人を殺害し30人以上に重軽傷を負わせたとして、軍法会議で有罪判決を受けた。テロ罪には問われなかったが、軍の精神鑑定委員会に対しては、兵士への銃撃はイスラム教の名の下での武装闘争(ジハード)への参加が目的だったと語っていたとされる。米軍施設内で発生した事件としては史上最悪規模の銃乱射事件とされ、死刑執行は来月3日に予定されている。
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