米中間選挙は、議会の勢力図を塗り替えただけでなく、国際外交の構図にも影響を及ぼしそうだ。欧州各国は、米国によるウクライナ支援の拡大や関税圧力の緩和に期待を寄せる。中東諸国は、トランプ大統領の軍事行動を決定する権限に議会の歯止めがかかるかどうかに注目している。
一方、米中関係については、専門家の間では米国の対中戦略に大きな変化はないとの見方が大勢で、台湾の顧立雄国防部長も、米議会では与野党を問わず台湾の防衛力強化を支持する姿勢が一貫しているとして、対台湾武器売却への影響は限定的との見通しを示した。
「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ氏と対立してきた各国の首脳らは、中間選挙の結果に安堵の色をにじませた。米国の外交政策が今後、これまでより対立色を弱める可能性に期待を寄せているためだ。
バーナム英首相は11月4日、「今こそ世界が結束し、我々全員に影響を及ぼしている問題、すなわち生活費の高騰に共同で対処する機会だ」と述べた。ワーデフール独外相も同日、「ウクライナについては、今後、議会でより活発な議論が行われると期待している。与野党双方が、ウクライナ支援のために何ができるかを話し合うことになるだろう」との見方を示した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は同日夜、独メディアのインタビューに応じ、米国によるさらなる支援に期待を表明した。
ウクライナ支援 議会で審議再び
民主党が主導権を握る米議会では、ウクライナへの軍事・経済支援を拡充する新たな法案の審議が再び進むとみられる。ホワイトハウスが決定したロシア産エネルギー関連の制裁緩和についても、議会による厳しい検証が行われる可能性がある。
ただ専門家は、外交交渉の主導権は依然トランプ氏が握っており、短期的に方針が転換する可能性は低いと指摘。ウクライナに譲歩を求め、停戦交渉を急ぐ姿勢に変化はないとみられ、ウクライナは議会からの支援拡大が期待できる一方、ホワイトハウスからの圧力は続くという複雑な状況に直面する可能性がある。
来週には米国、ロシア、ウクライナの3か国が、イラン戦争の勃発以降中断していた協議をアラブ首長国連邦(UAE)で再開する予定だ。ウクライナのシビハ外相は「安全保障問題を中心に、信頼醸成措置について重点的に協議する。また、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領が会談する場合の議題についても検討する」と述べた。
イラン戦争に「歯止め」の可能性も
長期化するイラン戦争は、今回の中間選挙で共和党が敗北した要因の一つになったとの分析もある。中間選挙から一夜明けた4日、ヴァンス副大統領は自身のSNSで「我々が敗北した理由は戦争にある。トランプ大統領自身もそう言った」と投稿した。
今後、議会は法整備や予算審査を通じ、ホワイトハウスによる軍事行動に一定の歯止めをかける可能性がある。
ただし、こうした動きをイラン側が米国の決意の揺らぎと受け止めれば、軍事的な誤算を招き、紛争がさらにエスカレートする危険性もあると専門家は懸念している。
関税圧力 欧州になお警戒感
各国首脳はまた、米国による関税措置の圧力が和らぐことにも期待を寄せている。
しかし、欧州議会貿易委員会のベルント・ランゲ委員長は、米国の保護主義がなくなることはないと指摘。欧州は防衛と経済の自立に向けた取り組みを加速させ、産業の強靭性を高める必要があると訴えた。
日本や韓国などアジアの同盟国は、数千億ドル規模に上る対米投資計画の実行を慎重に進め、米国との交渉余地を広げようとする。ただ、ホワイトハウスが再び関税を交渉カードとして持ち出す事態には、引き続き警戒を強めるとみられる。
対中戦略は「不変」 台湾は武器売却に自信
米国の民主、共和両党は、中国共産党政権との戦略的競争を重視する点で共通認識を形成しており、中間選挙の結果が米国の対中政策を根本から変える可能性は低いとの見方が広がっている。
中国共産党(中共)側は、来年1月に期限を迎える米中貿易休戦をめぐる交渉で譲歩を引き出そうとする。
しかし専門家は、民主党が主導権を握る議会が、台湾問題や半導体、人工知能(AI)、サプライチェーンの審査などを通じ、中共への圧力を一段と強めると指摘する。
台湾の顧立雄国防部長は6日、米国による台湾向け武器売却について、手続きが遅れることはないとの見通しを示した。
顧氏は「米議会はこれまで一貫して、党派を超えて台湾の防衛力強化を支持してきた」と述べた。専門家の間では、米国による台湾向け武器売却が2027年2月、あるいはそれ以降に再開するとの見方も出ている。
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