10月25日午後、カナダのYan MA 監督が手がけた映画『超限戦』の日本初上映会が東京・大塚で開かれ、各界の関係者らが鑑賞に訪れた。
『超限戦』は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に、実際の出来事とフィクションを織り交ぜた政治サスペンス映画だ。
中国共産党(中共)の工作員に脅迫されたカナダ人ウイルス学者が、ウイルス研究や情報操作、国際政治をめぐる巨大な陰謀に巻き込まれていく。科学技術や経済、情報を武器とする現代の「超限戦」を描き、パンデミックをめぐる疑惑や情報統制の問題に迫るとともに、真実を見極めることの大切さや、自由と良心を守る意味を問いかける。
中国の統制社会を描く 観客から共感の声
上映後、観客からは、中国の厳しい情報統制や人権問題をリアルに描いた作品だとの声が上がった。
人材育成協会代表理事の柴沼邦彦氏は、「現在の中国が共産党に支配されている実態がよく分かった。徹底した情報隠蔽や管理社会の様子をよく描いた映画だ」と評価した。
企業の元社長である佐藤さんは、「現代の中国社会に自由がないことや、法輪功、武漢で始まったパンデミックの問題など、共産党体制が抱える多くの問題を改めて感じた。権力者の欲望や体制内部の仕組みが浮き彫りになっている」と語った。
来日して1年余りになる陳剛さんは、「中国国内の厳しい統制や、中共があらゆる手段を使って反体制派や宗教団体、異なる意見を持つ人々を弾圧している現状が、リアルに描かれていた」と話した。
特に、コロナ禍の前後に実際に起きた出来事を描いた場面では、中国にいた頃の経験がよみがえり、息苦しさを感じたという。
「最も印象に残ったのは、防護服姿の『大白』や黒服の男たちが、弾圧の手先として登場する場面だ。私自身、そうした光景を現場で目の当たりにしたことがあり、本当に恐ろしかった。映画の描写は決して大げさではない。コロナ禍では、政府が一般市民を長期間にわたって自宅に閉じ込め、外出すら許さない、まさに地獄のような封鎖措置を行った。世界でも類を見ないほど過酷なものだった」
映画では、中共が外国人専門家やその家族を脅迫する場面も描かれている。
陳さんは、「これは、目的のためなら手段を選ばない『超限戦』の本質をよく表している」と指摘。さらに、国境を越えた弾圧や利益目的の越境摘発、臓器売買、世論やメディアに対する厳しい統制なども取り上げられていたと語った。
佐藤さんは、「人間の欲望や感覚の麻痺が引き起こす恐ろしさを感じた」と振り返った。
また、現代アートなどにも関心があるという佐藤さんは、「現代社会が抱える問題や現実に気づいていない人が多い。米国や日本、中国を含め、今、世界で何が起きているのかを知ってほしい」と訴えた。
「健全な社会に多様な声が必要」 言論の自由の重要性を訴え
映画には、「健全な社会には、一つの声しか存在しないということがあってはならない」という言葉が登場する。
健全な社会には多様な意見や視点が欠かせない。上映会を通じて、観客たちは言論の自由や情報の透明性、真実を知ることの重要性を改めて考える機会を得たと話した。
柴沼氏は、言論の自由こそ社会にとって最も重要なものの一つだと強調。「現在の中国では、共産党体制によって言論の自由が完全に封じられている。共産主義の考え方に基づいて国家をつくることには、非常に大きな問題がある」と語った。
陳さんも、中国の実態を世界に伝える必要性を訴えた。
「真実を明らかにすることは、中国人のためだけではない。より多くの外国人に中共の統治の実態を知ってもらうことも非常に重要だ。中共は海外でも、台湾や華僑団体などに対して大規模な浸透工作や情報隠蔽を行っている」
さらに陳さんは、世界中の人々が真実を知り、力を合わせることが、中共の統治に立ち向かうために必要だとの考えを示した。
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