スペイン高速鉄道で追突事故 公開録音で明らかになる重要な17分間

2026/10/29
更新: 2026/10/29

スペインの高速鉄道で起きた重大な追突事故で、少なくとも68人が死亡した。新たに公開された運行指令の通話録音3件から、事故前の重要な17分間の経緯が明らかになった。

調査によると、現地時間10月28日午前8時30分、高速鉄道の信号システムに障害が発生し、民間事業者イリョ(Iryo)の高速列車が停止した。しかし、その6分後、運行指令所は運転再開を指示した。

後方を走っていた国営事業者レンフェ(Renfe)の高速列車は、安全システムが復旧していない状態で約25キロメートル走行を続け、午前8時53分、前方に停止していた列車に追突した。当時、指揮に当たっていた運行指令員のそばには、補佐役1人と上司1人もいた。

当局は、運行指令の担当者がなぜ事故を未然に防げなかったのかを調べている。

AVEに運転再開を指示 運転士は確認を求める

エル・パイス紙が公表した通話記録で、最も重要なのは、運行指令所とレンフェの高速列車AVEとのやり取りだ。記録には、通話相手と時刻が午前8時36分と記されている。

運行指令員は運転士に対し、連続列車制御システム(LZB)をいったん切断して再接続し、運転を再開するよう指示した。さらに、地上信号による閉塞方式(BSL)の下で、通常の運転方式で走行するよう説明した。

運転士が、通常の運転方式で走行を続けるという意味かと尋ねると、運行指令員はその通りだと答えた。

この通話が重要なのは、運転士が運転再開の指示を受けただけでなく、どのような方式で走行すべきかを改めて確認し、運行指令員から明確な回答を得ていたことが、記録から分かるためだ。

AVEは当時、イリョの列車の約25キロメートル後方にいた。当局は、この指示が当時の状況に適用される安全規程に違反していたとみている。規程では、列車は目視運転、または時速40キロメートルに制限して走行すべきだった。

イリョの列車、指示を受けるも再起動できず

残る2件の通話は、前方のイリョの列車が当時どのような状態だったかを示す手掛かりとなっている。

報道によると、イリョの運転士も通常運転の再開を指示された。その7分後、運転士は運行指令所に再び連絡し、列車を再起動できず、停止したままだと伝えている。

この点は事故の経緯を再現する上で極めて重要だ。運行指令所が走行の継続を許可したからといって、列車が既に再起動したことにはならず、それまで列車がいた線路区間から車両がいなくなったことを示すものでもない。

イリョと運行指令所の2回目の通話は、指示と列車の実際の状態に食い違いがあったことを明確に示している。報道で公表された時系列によると、この時点で追突事故までわずか5分だった。

エル・パイス紙によると、運行指令所はイリョの列車が停止したままであることを把握していたにもかかわらず、レンフェのAVEに減速やブレーキ操作を指示せず、最終的に惨事を招いた。

同紙は、通話内容は当時の指示や警告を明らかにするのに役立つものの、事故の全容を解明するには、全ての通信記録、列車の運行記録、運行管理システムの関連資料を照合する必要があるとも指摘した。

また、公開された通話の一部に警告の指示が含まれていないことだけでは、事故直前の数分間に関係者全員が他の措置を取らなかったと証明することはできない。

(新唐人アジア太平洋テレビ報道/責任編集:盧勇信)