THE EPOCH TIMES

何清漣:挫折した中国の「注文書外交」

2009年11月07日 07時46分
 【大紀元日本11月7日】今年の中国外交の主題は、注文書外交。今年2月から、中国政府の各購買部門が大量の注文書を持ってヨーロッパを周遊し、至る所で空前の歓迎を受けている。この「注文書外交」で、中共は大国として虚栄を満たされた上、自らヨーロッパの救世主と称している。それゆえ、中国国内の国際関係専門家は、政府は、国際社会で注文書外交の対象をよく選びバランスを取るべきであり、また、注文書外交を持って「積極果敢な経済外交の道具」として利用すべきであると提案している。つまり、友の輪を広げ、敵を打撃する手段として注文書を活用すべきだというのだ。

 しかし、今年9月になって、権力者がこの注文書外交で獲得した達成感に、冷たい水を浴びせかけられた。中国当局が百億ドルの注文書を米国に提示したが、却って米国から制裁される羽目になったのである。

注文書が欧州を席巻した

 20世紀90年代中垣xun_ネ降、中共の外交政策は、その人権状況を非難するか否かで線を引いた。中共の人権状況を非難する国を反中国勢力とみなし、マスコミを動員して文章で攻撃し、極端な愛国主義者を扇動して中国国内にあるこれらの国の大使館、領事館、スーパーなどに対してデモをやらせたりする。その一方で、中共の誘惑と圧力に屈した国々に大量の注文を与えて友好を示す。その結果、2007年以前、アメリカ以外のほとんどの西洋社会は、中国の人権問題において妥協政策を採ってきた。

 20数年あまりの磨きを経て、中共は経済利益を用いて欧州各国の対中政策を上手に左右することができた。欧州連合(EU)の主要国、フランスとドイツの目まぐるしく変化する対中政策から、そのことがよくわかる。

 ところが、2005年に政権を取ったドイツ・メルケル首相は、前任のシュレーダー首相の対中政策を変え、価値観外交と新アジア戦略の外交方針を提出した。そして、2007年訪中の際に、メルケル首相は中共の人権侵害を厳しく非難した。

 彼女のやり方はドイツ国民と世界の人権組織から賞賛を得たが、中国から一つの注文ももらえなかった。中共は、ドイツにリベンジするために、中共の人権問題に妥協しているフランスに大量の注文を与えた。メルケルが北京で冷遇されていたときに、サルコジは民間用核発電史上最大の注文(100億ユーロ)と160機のエアバス注文書を持ち帰った。

 昨年のアメリカ発の金融危機で、各国の経済が落ち込んでいる。ちょうどそのとき、中共が大量の注文書を持って欧州を回っていた。2月24日から3月2日まで、中国商務部長・陳徳銘が自ら欧州視察団長を務め、200名あまりの企業のリーダーを率いた欧州視察団は、ドイツ、スイス、スペイン、イギリスなどを訪問し、強行軍のように一点xun_鼾早A130億ドルの注文書を欧州各国に与えた。中共のマスコミは、これについて大きく吹聴した:ドイツ企業は救われる機会に恵まれた、経済状況の冷え込んでいたイギリスは中国欧州視察団を囲んで暖められたなど。中共があたかも欧州の救世主であるかのような論調だ。

注文書外交はアメリカで壁にぶつかった

 ところが、注文書外交政策は、今年9月、アメリカで壁にぶつかった。9月18日に、中国人民代表大会委員長の呉邦国が訪米した際に、アメリカ側に124億ドルの注文書を与えた。当時中国国内の世論は、これほど大きなプレゼントだから、中米関係はハネムーンにはならなくても、少なくとも一時期の調和関係を保てると予測していた。

 しかし2日後、アメリカ側は、中国のシームレスパイプとタイヤに対して高い関税を徴収すると発表した。例えば、中国から輸入する乗用車と軽トラックのタイヤに対して初年度35%、2年目30%、3年目25%の高関税を徴収するというものである。

 この結果は、中国の経済利益を損なっただけでなく、中国の面子をはなはだしくつぶした。中国国内の反米「糞青」(極端な民族主義者)は相次いで文章を発表し、「恥知らず」、「恩を仇で返す」などの言語でアメリカを非難した。注文書を取り消し、アメリカの大豆に対しても制裁措置をとるべきだと、極端な愛国主義者らは提案した。

注文書外交は一体どれほどの効果があるのか?

 これまで、中共はしばしば、注文書外交政策を用いて、人権侵害に対する国際社会からの非難を逃れてきた。「地獄の沙汰も金次第」という拝金主義が横行している現代にあって、中国の権力者たちは、誰でも金の誘惑に屈するはずだと信じこんでいた。そんな中、アメリカで挫折してしまったことによって、多くの中国人、特に極端な愛国主義者らは、注文書外交政策が万能策ではないことを認識した。外交には注文書が不可欠となっている現代において、友好や真の友情は金銭では買えないということを改めて示唆することとなった。

(翻訳編集・張陽)


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