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二人三脚・二頭体制と言われる中共の政権中枢(写真:Getty Images)

胡錦涛の反撃:薄煕来のマフィア取り締まり、上海組に飛び火

 【大紀元日本11月10日】重慶市トップで中共政治局委員の薄煕来は、この数カ月、管下の重慶市で、赤と黒の色革命を起こしている。つまり、革命歌曲(赤色革命)を歌うことを提唱し、マフィア組織(黒社会)の取り締まりに異常なまでの取り組みをみせていた。しかし最近になって、薄煕来のマフィア組織取り締まりは、急に冷却化した。この動きは、江沢民勢力の敗北と胡錦涛の反撃を意味するものと見られている。

今回の党内闘争の縁起

 中共高層の政情に詳しい専門家の分析によると、マフィア組織取り締まりの矛先は、胡錦涛派閥の重慶前トップ・汪洋に向かっていたが、結果的には胡錦涛の「団派」(中国共産主義青年団出身者による派閥)のみならず、賀国強、曾慶紅、張徳江など江沢民の「上海組」の要員にも波及してしまい、薄煕来は両派閥の恨みを買うはめになってしまった。

 香港「文滙報」元駐東北記者事務所の主任記者・姜維平氏によると、薄煕来は商業部長という要職にあった期間、権力を弄していたため、呉儀副総理と温家宝総理との間にはよくトラブルが起っていた。よって、中共第17回大会以降、薄煕来は、辺鄙な重慶に左遷された。

 今年60歳になった薄煕来にとって、再起をはかるためには背水の陣を敷かなければならない。重慶で革命歌曲を歌うのは左派の支持を得ることが目的で、マフィア組織取り締まりは、その前任であり第18回代表大会でより重職を担うと言われる汪洋(現広東省トップ)を打撃する意図だった。こうして中共中枢への復帰の機会を手に入れようとしたと解釈されている。

 薄煕来の前任・汪洋は、中共元老・汪道涵の甥であり、「団派」の要員でもある。安徽省で思想解放運動を行ったことで注目され、鄧小平の称賛を得て中共第17回全国大会後、改革開放の重鎮・広東省のトップを任じられた。

 汪洋は、胡錦涛から政治上重要な使命を受け、広東省において新たな思想解放運動を行い、胡錦涛の「科学的発展観」理論の地位を高めている。それによって、江沢民の「三つの代表」理論を党規約や憲法から削除する意図があると見られる。このため、江沢民派閥はずっと汪洋を目の敵にしている。

多くの恨みを買う薄煕来の行動

 薄煕来の異常なまでの行動に対し、姜維平氏は次のように指摘した。薄煕来は、凄まじい勢いで革命歌曲を歌わせ、そしてマフィア組織を取り締まることによって、江沢民の支持を得てより高い地位に登ろうとする。捕えられた文強(元重慶市公安局副局長)や他の高官による自首を通じて、賀国強や胡錦涛による薄煕来の妻に対する収賄問題の調査をけん制し、汪洋ら「団派」要員の昇進を阻もうとする。

 中国の「世界経済新聞」駐北京事務所主任の張偉国氏は、「薄煕来のやったことは一石多鳥で、汪洋を除くこと、さらには賀国強の利益にまで及んでいる。恨みを買ったのは決して一人や二人ではない」と語る。

 消息筋によると、薄煕来は重慶でマフィア組織を取り締まった当初、中央政治局における江沢民勢力はすぐ汪洋への問責を提出した。つまり、重慶のマフィア組織が成長した時期に汪洋が重慶市のトップを務めていたことを指摘した。これに対し、胡錦涛は、重慶におけるマフィア組織の興隆は汪洋の前任であり江沢民派閥の要員で政治常務委員の賀国強がトップを務めていた時期だったため、責任は賀まで追及すべきだと反撃した。

胡錦涛の反撃

 胡錦涛は、さらに広東省でもマフィア組織を取り締まり、汪洋の前任で江沢民派閥の政治局委員である張徳江・現副総理を抑止するように汪洋に指示したという。そして、政権樹立60周年記念式典終了直後に、中共規律検査委員会の副書記の劉峰岩(かつて江沢民の大将で上海トップの陳良宇を倒した人物)を中央の第三地方巡査組として重慶に派遣し、薄煕来の仕事ぶりを監督・査察させる。

 このように、薄煕来の灯した火は、胡錦涛「団派」のみならず、江沢民「上海組」の賀国強や曾慶紅、張徳江にまで延焼してしまったため、行動停止をやむなくされた。10月16日、薄煕来はメディアに、「マフィア組織の取り締まりは、自ら進んでやったのではなく、迫られた状況からのやむを得ない選択だった」と語った。10月30日、薄煕来はまた「重慶日報」を通じて、これまでのことを言いくるめた。つまり、これまでの行動は彼が自ら発起したのではなく、中央の要求に従った「規範動作」であり、前任の賀国強や汪洋らの4人もマフィア組織取り締まりに多大な力を投入したという。

 薄煕来の談話に対し、香港「東方日報」は次のように解説している。実に意味深長。とりわけ広東省を学ぶべきと強調したことで、自分の行動は前任に対する政治的闘争ではないと証明しようとした。苦慮しての発言は、かえって自分に汚点を残し、墓穴を掘ってしまった。

党内闘争のドタバタ劇

 姜維平氏によると、薄煕来は重慶で、マフィア組織取り締まりの名目で多くの人を逮捕したが、いずれも彼個人の意志によるもので、中央の了承を得ていなかった。総勢7000人余りの500にのぼる捜査チームは、薄煕来ただ1人の命令に服従していたという。

 姜維平氏はさらに次のように語った。遅かれ早かれ薄煕来は必ず倒潰する。その時初めて、薄煕来のマフィア組織取り締まりは、大泥棒がスリをやっつけ、巨大マフィア組織がちんぴらをやっつけたことに等しく、中共の党内闘争の単なるドタバタ劇にすぎなかったことが明らかになるだろう。

(翻訳編集・小林)

 (09/11/10 05:05)  





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