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上海にある中国建設銀行の支店(PHILIPPE LOPEZ/AFP/Getty Images)

中国建設銀行、ニューヨークで提訴される

 【大紀元日本11月28日】中国四大専業銀行の1つである中国建設銀行は、今年6月、ニューヨークに最初の支店を開設した。時価総額で世界二番手の貸付け銀行が、ついに米国市場への拡張を果たすという画期的な出来事だった。しかし4ヶ月後、図らずもこのニューヨークへの進出は、民事訴訟に巻き込まれてしまうという事態に至った。

 先月、ニューヨーク在住の中国建設銀行の元社員が、ニューヨークの法廷に同銀行を提訴した。1993年、銀行に勤務期間中、内部監査人に銀行の不正を摘発したところ、解雇され警察に突き出されて拷問を受けたという。20日付けの英紙「フィナンシャルタイムズ」が報じた。

 不正摘発 警察に突き出され拷問

 訴訟を起こした劉博山(リウ・ボシャン)氏は、中国で88年から93年にかけて中国建設銀行に勤務していた。訴訟によると、劉氏は、93年、銀行と副頭取が偽の預金証書を発行し、不法な銀行業務に従事していることを発見した。内部の監査担当取締役に通報したところ、銀行側は、劉氏が銀行の建物内で売春婦と性行為を行い、会社方針に違反したという口実で劉氏を解雇した。

 訴訟ではさらに、銀行が警察に通報し、三人の同僚の偽装証言によって劉氏が逮捕された容疑も含まれる。同僚の一人は、後日、銀行から偽装証言をしなければ逮捕されると恐喝されたという事実を認め、証言を取り消したという。

 劉氏は、手錠をかけられ拘束された。留置所で足枷をはめられ、手首をつり下げられ、叩かれた。生殖器をタバコの火で焼き焦がされ負傷させられた。小さな牢獄に入れられ頭から水をかけられ、二日間、水の中に立たされた。売春婦と性行為を行ったことを認める自白書に署名することで、初めてこの地獄から抜け出すことができたという。

 中国では、拘留者が拷問もしくは残虐・恥辱的な待遇を受けることは日常のことだった。当時、官庁の管轄下にあった同銀行は、警察に通報することで、劉氏に起こるべきことは十分認識していたはずだ、と訴状では述べている。

 97年、劉氏は政治難民として米国に受け入れられ、現在は、外国人としての永住権を得ている。

 この訴訟は、米国の「外国人不法行為請求権法」(Alien Torts Claim Act)と「拷問犠牲者保護法」(Torture Victims Protection Act)に基づいて行われるもので、アメリカの中国建設銀行に限定している。中国本土の同銀行を提訴しても、中国警察の関わる事件を十分に審理したり救済したりすることができないからだ。つまり、同銀行がニューヨークに支店を出すことによって、原告は、人的管轄権を利用して、不可能であった提訴が可能になったということである。

 前者の法律は、1789年に制定された米国法で、外国人が他の外国人に対して、米国が締約する条約や国際慣習法に違反する行為を犯した場合、被害者は加害者に損害賠償を求めることができる。後者の法律は、外国の公務員が米国人および外国人に対して犯した拷問や超法規的処刑行為について、被害者が損害賠償を米国の裁判所に提訴することを認める。

 金融界の反応

 今回の訴訟は、国外進出をはかる中国企業に落とし穴が待ち受けていることを示す。一党独裁の中国本土とは全く違う法律と政治構造では、これまでのやり方は通らない。金融関係者や人権擁護グループなどは、中国はこれまでのやり方・考え方を大幅に変更する必要があると警告。

 「中国企業が欧米市場に進出をはかる際、本土とは違ったやり方で対立を解決し、全く異なる統治システムに対処する頭の切り替えが必要。中国の海外進出は軒並み増加するにつれて、今後2年間は、特に中国の金融企業がより多くの障害に出くわすことになるだろう」と、コンサルタント企業の「コントロール・リスク」でシニア・アナリストを務めるアンドリュー・ギルホルム氏は語る。

 人権擁護グループは、中国の警察、高官の手による拷問のケースを無数に記録している。最近は、中国で厳格な検閲を受けるメディア上で、警察の権力を抑制し、拷問を撲滅する必要があるという討論が交わされている。

 中国建設銀行の反応

 フィナンシャルタイムズに対して、中国建設銀行は、「当時、劉博山は、公共の秩序に違反する行為に関わり、地元の公共安全機関が法に基づいて処罰したと理解している」と語り、それ以上のコメントを出すことは拒否している。 中国建設銀行の弁護士は、劉氏の弁護士に、返答を提出するための時間を要請し、認められている。

(編集・鶴田)


 (09/11/28 08:40)  





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