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外貨準備価値の下落や輸出の打撃 中国、ユーロ圏財政危機に憂慮

 【大紀元日本12月27日】中国と欧州連合(EU)は先週、閣僚級で経済問題を話し合う「ハイレベル経済・貿易対話」を北京で開催した。中国共産党機関紙・中国青年報によると、商務部の陳徳銘部長は、財政危機対策に取り組むEU当局への憂慮を示しながらも、一連の措置を支持すると表明した。

 EU財政危機に対する中国の憂慮が深まった理由は、巨額な外貨準備として中国が保有しているユーロが、価値下落により保有価値の目減りが避けられないからだと専門家は見ている。さらに、ユーロ下落が人民元相場の上昇を意味し、危機が拡大すれば最大の貿易相手であるEUへ向けての輸出が大きな打撃を受けかねない、という事情もあるという。

 中国の国家外貨管理局が公表した最新の外貨準備高は、9月現在で2兆6483億ドルとなっている。保有する準備外貨の通貨バスケットを公表していないが、ある投資機関によると、ユーロは中国の外貨準備高の4分の1を占めている。

 アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のデズモンド・ラックマン主任研究員によると、ユーロは中国の外貨準備運用多元化の有力な選択肢となっているという。そのためEU財政危機への対策に明確な効果が表れていないことについて、ユーロ危機への憂慮を感じていると指摘している。

 EU財政危機はさらに拡大していくのか、あるいは支援策により穴埋めすることができるのか、中国の判断は非常に難しくなっている。「中国の態度は事態を静観しているようだ」とデズモンド氏は分析する。

 EUは今年、アイルランドとギリシャ向けに国際通貨基金(IMF)と共同で金融支援を実施した。さらに12月中旬、スペイン、ポルトガルなど周辺国の財政危機の深刻化につれ、EUはユーロ圏で総額7500億ユーロの欧州金融安定化基金(EFSF)を修正し、IMFによる財政危機に陥った国の国債購入額の枠を広めることを検討している。

 12月16日、EU中央銀行は2012年末までに資本金を58億ユーロから105億ユーロまで拡大すると発表した。中央銀行は救済能力を拡大させ、今後ギリシャ、アイルランド、ポルトガルなどの債務諸国の国債を購入する能力を増強させようとしている。

 しかし、最近のEU財務大臣•中央銀行総裁会合では、欧州金融安定化基金を増強させる提案が否決された。このほか、EU内部の諸国間の通貨政策や意見の食い違いにより、新たなEU圏国の国債の発行に関する議論も行き詰まっている。

 今回のハイレベル対話で中国の王岐山・副首相は、EUとIMFが取った一連の金融安定措置を支持すると表明した。さらに、「中国は、実際の行動でEUの一部の国家が財政危機に対応するのを助ける」と述べた。

 これについてデズモンド氏は、EUが全力で財政危機への対応を実施する前に、中国が大量のユーロ債券の購入を期待することは現実的ではないと見ている。これまで、EU中央銀行はただ発行済み債券市場で700億ユーロの債券を購入しただけであり、EU金融安定化基金の規模はまだ限定的であるためだ。

 今年10月、温家宝首相がギリシャを訪問した際、同国の国債を買い増す方針をすでに表明し、50億ドルの基金を立ち上げ、ギリシャの航空運輸企業の中国産タイヤの購入に資金援助をすると表明した。さらに、ユーロ安定化を図るため、国の外貨準備のユーロ保有分を減少させない意向を示した。

 ユーロ安で欧州の対中輸出は増加する傾向にあり、人民元切り上げ問題で中国への圧力を強める米国とは一線を画す対応を見せている。

 米欧中、それぞれ国内、域内問題を抱えながら、各自の利益を確保するための多角間協力の難しさが改めて浮き彫りとなっている。

(翻訳編集・林語凡)


 (10/12/27 08:06)  





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ユーロ安  財政危機国  外貨準備  EU  IMF   EFSF  


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