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湖南省にある武鋼マンガン製造用溶鉱炉の近くの村で作業する女性。同省では、数百人の子供たちが、工場廃棄物による鉛中毒にかかっていると疑われている。(FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)

クリーンエネルギー開発に 中国、環境を犠牲にレアアース製造

 【大紀元日本12月16日】気候変動サミットで温室効果ガスの排気削減の政策が取られ、クリーンエネルギー技術に欠かせないレアアースの需要が今後も高まると予想される。例えば、現在、供給不足が危惧さる「ネオジム(Nd)」は、風力発電用のタービンやハイブリッド車のモーターに使用される強力・軽量の磁石合金の重要な素材だ。しかし、レアアースの生産工程で犠牲になっている中国人がいることを忘れてはならない。

 内モンゴル自治区の汚染

 6日付けの英紙、サンデータイムズでは、レアアース生産の背後に中国は環境を犠牲にしていると言及している。

 世界最大のレアアースの産地とされる内モンゴル自治区の包頭(ボート)市に、数百万ドルの資金を投入したレアアース工業区が建設中で、壁に赤いペントで、「世界レアアース工業のリーダーを目指せ」とスローガンが書かれている。

 包頭市に名もない湖がある。工場の煙突に囲まれ、冬は湖床が凍りつき、夏になると赤い粘り気のある軟泥になると言う。工場からの漏水が近辺の土地を汚染しているせいだ。土に水をやったら何も育たなくなった。地方当局が水質検査をし、人間も動物も飲むべきではなく、灌漑用水にも使用してはいけないという結論を出した。

 市の近くにある小さな工場では、労働者が保護服を着用せずに、化学薬品の入った大釜に有毒な液体や粉を流し込み、 電池や磁石合金に加工できるよう、レアアースの元素を化合物や酸化物へと反応させる。労働者は、煙や埃をそのまま吸い込み、手袋なしで薬品を扱う。

 包頭レアアース研究所の趙正其(音)氏は、「環境問題は、フッ素、硫黄などの有害物質の排棄、過度の酸性や放射性物質を含有する排水などに及ぶ」と語っている。

 江西省の汚染

 江西(ジャンシー)省のPitou県の丘には、 工場が点在する。酸性物質を土壌に注入しているのだ。9月に村人たちは、化学薬品を運び込むトラックを阻止し、地方当局の周囲を囲み、デモを行った。

 「もう、何も収穫できない。樹木は果実をつけない。魚は川で死んでいる。以前は、川で洗濯をしていると、魚がたくさん寄ってきていたのに、今はもう、一匹もいない。雑草まで枯れてしまった」と地元住民は語る。

 表向き、これらの工場は閉鎖されているが、 夜中に武器を持った見張り付きで稼働していると地元の人々は証言する。当地の共産党リーダーがマフィアと結託して、実入りのよいレアアース生産を続行させているという。

 世界市場をほぼ独占する中国

 先進国がCO2の削減を声高に主張し、クリーンエネルギーを主張することは、世界のレアアースへの需要が高まることを意味する。例えば、現在、供給不足が危惧される「ネオジム(Nd)」は、風力発電用のタービンやハイブリッド車のモーターに使用される強力・軽量の磁石合金の重要な素材だ。

 これまで20年にわたり、低賃金と作業環境規程の緩い中国に勝てる国はなかった。現在、中国はレアアース供給の95%以上を担う。世界でも唯一の様々な等級、品種のレアアース製品を大量供給する国でもある。

 来年の需要は14万トンと予測される。しかし、中国政府は、今後6年で、輸出を3万5千トンに制限すると発表し、市場を動揺させている。 包頭レアアース研究所の理事代理である張培成(音)氏は、「中国の国内需要が、輸出量を引き離していくことになるだろう」と語る。

 中国は、レアアースの輸出を制限することで、海外のレアアース生産者の工場を中国に移転させ、その技術も中国に譲るように望んでいる。

(編集・鶴田)


 (09/12/16 08:29)  





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