アリババ上場 外国投資家の致命的落とし穴

2014年09月23日 16時00分
【大紀元日本9月23日】市場最大級の上場となり、ニューヨーク証券取引所で19日(現地時間)、公募価格より38.07%上がった93.89ドルで初日取引を終えた中国電子商取引会社のアリババ。興奮が冷めない市場に対し、各方面から、「同社株を購入した外国投資家はその実質的株主にはなれない」と警告する声が強まり、そのハイリスクが浮き彫りになった。中国株特有のVIE構造の問題だ。

 中国政府は通信関連を含む一部業種を対象に、外国資本の出資を厳しく制限している。こうした状況において、海外上場を志す新興企業はある抜け道を考案した。「VIE(Variable Interest Entity、変動持ち分事業体)」である。海外で中国国内企業の本社としてオフショア会社(VIE)を設立し、海外市場で上場を果たせる、という仕組みだ。もちろん、外国投資家はVIEの株主であり、中国国内企業の株主ではない。

 アリババの場合、創業者の馬雲氏ら中国人投資家が全株式を握る中国企業アリババと、ケイマン諸島に設立された同社のVIEであるアリババ・グループ・ホールディングス(AGHグループ)との間で、アリババの収益をそのままAGHに帰属させる諸契約を結んでいる。ニューヨーク市場でその株を購入した外国投資家はアリババではなくAGHの株主となる。

 もっとも大きな問題は、VIE構造そのものは中国のグレーゾーンで法律に認められていないこと。これまで黙認してきた中国当局が将来「VIEは違法だ」と判断を下す場合、「アリババとVIE間の諸契約に法的拘束力がない」ということになり、外国人投資家がアリババの中国人投資家を相手に訴訟を起こしても、勝訴する見込みは極めて低い。株主権益だけではなく、持ち株もただの紙切れになる可能性は大だ。

 アリババ自身も今回の上場にあたり、米証券取引委員会(SEC)に提出した目論見書で、このVIE構造のリスクに言及した。

 同社と中国政府当局者との近い関係は、同リスクをさらに高めさせている。

 「アリババの中国人投資家には太子党(中国共産党高級幹部の子弟)メンバーが多い」というもっぱらの噂がある。米議会の諮問機関である「米中経済安全審査委員会(USCC)」はその上場直前の12日の報告書で、同社と太子党との間に巨大な利益関係があるとし、その投資のハイリスクを警告した。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは19日付の報道で、「何億人もがアリババから利益を獲得しようとしているが、同社の組織のトップの存在は不明確であるうえ、政治色があり、脆弱だ」と改めて投資家に注意を喚起した。

 アリババだけでなく、中国大手ポータルサイト百度(バイドゥ)など1999年以降に米国株式市場に上場した200社以上の中国企業のうち、ほぼ半数がVIEを設立した。

 「VIE構造は中国政府の一声で破たんしてしまう」。 多くの外国投資家はアリババ株を含む海外上場の中国株に大金をつぎ込む前に、この危機的問題を認識できたのか。

 無論、アリババのニューヨーク市場上場により、日本の長者番付の首位になったと報じられているソフトバンクの孫正義社長もアリババの実質株主ではなく、AGHの筆頭株主に過ぎない。

(翻訳編集・叶子)


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