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米国証券取引委員会によると、中国政府系ファンドCICは、2009年末の時点で、米国主要企業株式96億3千万ドル相当を保有している。(DON EMMERT/AFP/Getty Images)

中国政府系投資ファンド、米国主要企業の株式を多数保有 米議会、強い懸念

 【大紀元日本2月16日】米国証券取引委員会(SEC)は5日、中国政府系ファンドの中国投資有限責任公司(中国投資、CIC)が初めて同委員会に提出した4半期報告書に基づき、2009年末の時点で、CICが米国主要企業株式を96億3千万米ドル(約8618億8500万円)相当保有していると発表した。

 同報告書によると、CICが保有する株式は、金融株及び資源株が中心で、モルガン・スタンレーへの出資は最高額の17・7億ドル。次点はブラックロックの7・1億ドル。続いてビザ3・5億ドルとなっている。また、バング・オブ・アメリカを1900万ドル、シティグループを3000万ドル相当保有している。

 さらに、米紙「ニューヨークタイムズ」によると、出資規模は大きくないが、CICは、米国を代表する企業であるアップル、コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アメリカ・インターナショナル・グループ(AIG)及び複合メディア企業のニューズ・コーポレーションの株式を保有しているという。

 CICは中国の外貨準備高の運用を目的に2007年に設立され、同年9月29日から長期投資を方針に運用開始した。設立当時の資産規模は2000億ドル。現在資産規模は3000億ドルに膨らんだとみられている。昨年12月22日付の「経済観察網」によると、CICは中国政府に対して、外貨準備高から新たに2000億ドル規模の追加資本注入を要請しており、現在、政府当局は検討中だという。

 CICは設立当初、資本金2000億ドルの3分の1を海外運用に充てる方針を打ち出したが、2008年度のアニュアルレポートによると、海外運用に充てる資本金はすでに全体の50%に達したという。

 CICは初めての投資として、2007年に米国最大手投資ファンドであるブラック・ストーンに30億ドル出資して、同社の9・37%の無議決権株式を取得した。また、同年、50億ドルでモルガン・スタンレーの9・86%の株式を取得した。さらに、2009年6月に、モルガン・スタンレーに対して12億ドルの追加出資を行い、同社の一部の普通株を取得した。

 SECが発表したCICの報告書には、同社が保有するブラックストーン社の無議決権株式とモルガン・スタンレーの優先株が含まれていないことから、CICが長期運用を目的に両社の株式を取得したとみられる。しかし、金融危機の影響で、株式市場が急落し、両社の株価の下落でCICは約61億ドルの損失を出したと、2008年10月14日付の「北京晨報」は報じている。

 一方、CICは米国以外の国での投資も拡大している。昨年7月、CICは、カナダの資源大手で、資金難に陥った世界最大の亜鉛生産企業、テック・リソーシス(Tech Resources)の株式17・2%を15億米ドルで取得した。また、スマートフォン「ブラックベリー」を開発したカナダの通信機器メーカー、リサーチ・イン・モーション社の15000株を保有し、時価総額は約100万ドルに上る。同年10月、CICはモンゴルの炭鉱を開発中のカナダの資源会社であるサウスゴビ・エナジー・リソーシスから5億米ドル規模に相当する30年満期の転換社債を買い取っている。

 昨年8月、CICはオーストラリア最大の投資銀行であるマッコーリー銀行(Macquarie Bank)と共に、オーストラリア大手不動産企業のグッドマン・グループ(GoodmanGroup)に総額4・85億豪ドルを出資した。CICの出資分は2億豪ドルで、同社株8%を取得したと推測される。また、同年9月、CICは香港に本社を置きシンガポール株式市場に上場している資源専門商社のノーブル・グループ(Noble Group)に850万米ドルを出資し、同社株14・5%を取得している。

 米国上下両院の議員は、中国共産党政府の国有投資ファンドが米国中心に積極的に投資を行っていることを懸念している。特に米国主要企業に出資し株式を保有することによって、これらの企業に対して中国が政治的な影響力を持つことを非常に警戒している。そのため、4年前、米国議会は、創業100年以上の歴史を持つ米石油会社ユノカル社(Unocal)に対する中国海洋石油による買収案を阻止した。

 一方、SECによると、CICが提出した今回の報告書には、CICがヘッジファンドなどで間接的に取得した米国企業の株式などは含まれていない。SECは米国企業株や証券を1億ドル以上保有する金融機関に対して、情報開示義務として報告書「様式13F」の提出を求めている。

 CICは現在、日本の企業や不動産への投資は進めていないが、2009年8月26日付の「朝日新聞」によると、すでに株式投資及び不動産などを含む日本市場への積極的な投資を検討しているという。また、2009年7月9日、国内外の有識者をメンバーとして設立したCICの国際諮問委員会のメンバーに、東京証券取引所の西室泰三会長が選任されている。

 日米欧を含む世界各国が今後、「共産主義の実現」という最終目標を挙げる中国政府の投資ファンドとどのように向き合っていくかを模索すべき時である。

(翻訳編集・張哲)


 (10/02/16 09:52)  





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