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オバマ大統領、万里の長城にて(SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

米中関係検証:一連のトラブル 新たな摩擦

 【大紀元日本1月20日】2ヶ月前、中国を初訪問した米オバマ大統領は、万里の長城でも紫禁城でも報道陣や中国人たちに向けて、いつも礼儀正しく微笑んでいた。しかし、わずか8週間後に、米中間では一連のトラブルが相次ぎ、両国関係も急速に悪化している。

 英紙「フィナンシャル・タイムズ」やAP通信は14日付けの報道で、米中両国間の関係をはかり知る前に、また新たな摩擦が起きたことを指摘している。

 最近のトラブルには、コペンハーゲンの環境会議における米中の争い、米国の対台湾武器売却、中国軍事力の増強への米国防相の懸念、米中間の貿易摩擦が挙げられる。そして、グーグル社の検閲拒否は、緊迫感をさらに高める要因となった。

 グーグル事件

 中共当局によるネット検閲、北京発信のハッカーによる人権活動家へのサイバー攻撃を理由に、グーグル社は検閲を拒否する決断を下した。グーグル社の声明に関して、米国の中国問題専門家で米アジア協会の米中関係センター理事のオーヴィル・シェル(Orville Schell)氏は「これはきわめてリスクの高い決闘。危険をはらむ2010年の米中関係における、第一発目にすぎないかもしれない」とコメントした。

 この摩擦が口論から実際の争いに転ずるかは、現在のところ不明。米政府は、事前にグーグルから事情を聴いてはいたが、グーグル社の決断には関与していないと主張している。しかし、グーグル社が中国共産党と争った場合は、オバマ政権は必ずグーグル社を支持すると表明した。

 コペンハーゲン環境会議

 コペンハーゲン環境会議の破綻で冷え込んだ米中関係をさらに冷え込ませるかのように、グーグル事件が起きた。

 オバマ政権の提出した中国に関する政策が、国際社会で討議されたことなどにより、中国共産党政権の官員は、コペンハーゲン環境サミットで待ち伏せ攻撃を受けたと感じたのかもしれない。

 会議中、ある官員は、会場でオバマ大統領を指差しながら怒りを表したという報道があった。また、中国政権は、国家首脳会議に副大臣クラスの官員を出席させた。「中国共産党は愚かで、いつもこのような下手な戦術に出ている」と、ブルッキングス研究所のケネス・リバーサル(Kenneth Lieberthal)氏は指摘している。

 対台湾武器売却、対イラン制裁

 米政府は台湾に65億ドルの武器売却を決定した。ヘリコプター、PAC-3型地対空ミサイル、そして潜水艦製造技術も含まれる可能性がある。米の台湾への武器売却は、これまで何回も中共政権を苛立たせてきた。先日の中共政権によるミサイル発射も、米国に対する憤りの表れと専門家は指摘する。

 中共政権は、南中国海で米海軍を何度も追尾偵察していたが、今回のミサイル発射は、米国防相の注意を一層引くこととなった。13日、米太平洋軍のウィラード司令官(Admiral Robert Willard)は、中国共産党政権の挙動について、「狙いは、該当地域での米国の行動の自由に挑むものだ」と米国会で証言した。

 さらに、中共政権は、米国が提案したイランに対する制裁に、明確に反対を表明し、オバマ政権に挫折感を味わわせている。

 ダライ・ラマ会見

 米国大統領のダライ・ラマ会見は1990年から始まった。オバマ大統領は、中国政権を考慮して会見を遅らせたが、中国側は、全くその意向を汲み取らなかった。そこで大統領のダライ・ラマ会見の手配となったわけだが、ある米政府高官は、なぜこれが米中関係を危機に陥れる要因になるのかと指摘する。

 米中間の貿易摩擦

 米国が国内経済悪化を食い止めるに伴い、米中間の貿易摩擦も新たに浮上してきた。産業団体からの圧力により、オバマ大統領はすでに中国産タイヤと鋼管に巨額な関税を課している。

 10日、中国の税務総局が、2009年の総輸出高を1兆2億ドルと発表。1兆1億7千万ドルのドイツを越える数字となった。巨大な黒字国である中国の人民元レートは批判の的となっているが、米国をはじめ各国からの人民元切り上げ要求を、中国は断固拒否している。

 2010年:米中関係が危うい

 多くの米国人は、オバマ政権が中国と頻繁に接触することは米国に深刻な問題をもたらすだけだと懸念する。ピーターソン国際経済研究所の中国問題専門家ニコラス・ラーディー(Nicholas Lardy)氏は、「今、大きな転換点にいる可能性が高い。中共政権の実際の行動に、国際社会が迎合することはない。中共政権がプラス的な役割を果たすと思い込んでいる人々は、ますます難しい問題に直面するだろう」と予測する。

 ウィスコンシン大学の中国問題専門家エドワード・フリードマン(Edward Friedman)氏は、経済と世界への影響力が多大になるにつれ、中国の指導者はワシントンを蔑視できると過信していることを指摘。しかし、これらの挙動は、米国から強烈な抵抗を招きかねない。中国共産党が中国を統制し続けるならば、2010年は不安定な米中関係を迎える年になるにちがいないと予測する。

(翻訳編集・小林)


 (10/01/20 09:35)  





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