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ロバート・ゲーツ米国防長官(中)と駐アラブ首長国連邦のリチャード・オルソン米国大使(右)。イランの核開発へのアラブ諸国間のプレッシャーを築くため、国防長官がアブダビを訪問。11日、アブダビのモスクで(JIM WATSON/AFP/Getty Images)

イラン核制裁:渋る中国

 【大紀元日本3月16日】核開発を進めるイランへの国連安全保障理事会による制裁は、昨年12月のコペンハーゲンでの気候変動会議に続く、国際舞台における米中の正念場となりそうだ。

 イランは昨年末、中距離弾道ミサイルを試射。そして先月、低濃縮ウランの濃縮度数を20%に引き上げ、軍事物質になる水準となることが懸念されている。

 イランが主要な核保有国となることは、中東の安定を揺るがせる。サウジアラビアが、 水面下で 中国に圧力をかけたり、イランと友好関係にあるイスラエルの副首相らが2月末、中国を訪問するなどの国際社会での動きもみられた。

 しかし、イラン側は、国際社会の懸念に応じる姿勢を見せなかった。4日、米仏などが、追加制裁を提案。米誌「ニューヨークタイムズ」によると、制裁の柱は、イラン中央銀行への制裁、核開発に携わる個人の移動禁止、資産凍結。

 この提案に中国は真っ向から反対した。 中国の劉振民次席大使は「この問題が制裁によって解決する ことは絶対にない」と言明 。また、トルコ、ブラジル、レバノンも追加制裁に慎重な姿勢を示している。

 中国とイランのつながり

 1日付けの英紙「フィナンシャルタイムズ」によると、中国は、昨年、エネルギーに関する多くの大規模な取引をイランと提携している。同紙では、中国とイランの関係は、エネルギーの範囲に止まらず、歴史、文明、政治の面にも及ぶという。

 両国は一体どのようにつながっているのだろうか。Chinalawandpolicy.comのエリザベス・リンチ氏は、「ハンティントン・ポスト」紙に昨年9月29日付で三つの項目にわたる分析を提供している。

 1)歴史

 中国は、人権、核開発の問題もあり、常に欧米の世界秩序から外れたところに存在してきた。その結果、中国は「不干渉主義」を採用し、米国や国連が「ならず者」とみなす国家とつきあうようになってきた。このような歴史的背景から、長期的に世界の秩序を脅かすイランに対する制裁にも、前向きになれない。

 2)地理的な国益

 イランは、中国の中東政策にとって重要な役割を果たす。当地の米国による影響を抑え、政治的、経済的な関係を中東諸国と築こうとしている。この例が、「上海合作組織」(上海協力機構)だ。ロシア、中国、中央アジア諸国間の多国間協力組織で、イランは加盟していないが、オブザーバーの立場にある。2005年には、加盟国の合意により、中央アジアにおける米国の軍備を縮小させた。イランに対する欧米主導の制裁に即座に賛同することは、中国の上海協力機構をリードする立場を危うくする。

 3)経済的なつながり

 中国の原油輸入の15%がイランから来ている。さらに中国の石油企業は、イランの油田にかなりの投資を行ってきている。石油に止まらず、昨年3月、中国は天然ガス開発のために、32億ドルの契約を交わしたと米紙「ロサンゼルスタイムズ」が伝えている。

 また、イランには原油精錬の能力がない。3月7日付けの英紙「フィナンシャルタイムズ」によると、欧米大手の原油精錬企業は、政治的、金融的なリスクを理由に、既にイランへの供給をストップしたという。エリザベス・リンチ氏の論評が発表された昨年9月の時点では、欧米企業の撤退は中国にとって不利になるという見解が納得のいくものだったが、現在は、ドバイまたは中国の企業が、欧米企業の撤退の穴埋めをしている。つまり、欧米諸国のイラン制裁で経済関係が手薄になると、中国はイランとの関係をさらに深めることができるわけだ。コペンハーゲンでの会議同様、合意破綻は中国の思う壷なのかもしれない。

 日本が国連安全保障理事会議長国を務める4月中に、クリントン米国務長官は、制裁決議の採択を目指している。また、昨年12月から、日本の天野之弥氏が国際原子力機関(IAEA)の事務局長を務めている。欧米主導の世界秩序に対する中国主導の新興勢力。お互いに妥協することのない厳しい交渉が予想される。

(編集・鶴田)


 (10/03/16 09:31)  





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