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2008年ノーベル経済学賞受賞者、ポール・クルーグマン氏(MIKE CLARKE/AFP/Getty Images)

ノーベル経済学賞受賞者:中国の人民元政策、世界経済の脅威に

 【大紀元日本10月31日】「中国の悪いマナーが、世界経済の脅威となっている」。08年ノーベル経済学賞受賞者で、米国の国際経済専門家ポール・クルーグマン氏は22日、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の論評コラムで、米ドルと連動する中国の人民元政策をこのように批判している。また、中国のドル建て資産の売却可能性について、影響を懸念する必要はなく、逆に米国の経済回復に大きなプラスになるという見解を示した。

 クルーグマン氏は同コラムで、人民元の為替レートが人為的に低水準に保持されているという本人の以前からの主張に再び言及している。「私を含む多くの経済学者が、中国の資産購入ゲームは不動産市場のバブルを膨張させ、世界金融危機の舞台を設置した。しかし、ドルが下落するにもかかわらず、一貫して人民元の対ドルレートを固定させる政策は、世界経済にもっと大きな害を与えている」

 また、中国が実質上、ドルペッグ制(自国通貨の為替レートをドルと連動させること)を実行しているため、ドル安と連動して中国製品が格安となり、世界経済の縮小により、世界に存在する限られた需要に対して、中国製品が供給されることとなり、他国の経済成長に大きな打撃を与えている。中国人民元政策により最も被害を受けるのは「貧しい国の労働者だろう」と指摘する。

 さらに、16日、米国財務省が、今年上半期の為替政策報告において、中国は為替操作をしていないと認定したことについて、クルーグマン氏は失望している。

 米国のシンクタンク機関、ヘリテージ財団のデレク・シザーズ研究員はクルーグマン氏のコラムについて、世界金融危機が発生してから1年間が経ち、世界経済が回復に向かっている現在、中国人民元問題による貿易摩擦問題が再び注目され始めたと指摘している。「半年前にこの様な為替レート問題が取り上げられたら、貿易摩擦が世界経済を滅ぼすと誰もが思ったことだろう」と、シザーズ氏はVOAの取材に応じて語った。

 米国商務省の統計によると、2008年、米国と中国の貿易総額は4080億ドル(約37兆1280億円)に達しており、そのうち、米国の対中貿易赤字は2600億ドル(約23兆6600億円)を超えている。

 一方、クルーグマン氏はコラムで、ドルの大幅な下落について、心配には値しないという見解を示している。米国政府またはウォール・ストリートの金融専門家たちが、中国が米国のドルを大量に売却するかもしれないと懸念していることに関して「つじつまが合わない」とし、中国が一部のドル建て資産を売却し、ドル安となった場合、米国の輸出産業に有利になると解説している。

 メリーランド大学のピーター・カイル金融学教授は「ドル安は国内製造業に雇用機会をもたらし、またエネルギー価格高騰の中で、原油輸入量が減少し米国の従来のエネルギーへの過剰な依存を是正することにつながる。つまり、米国経済は成長の刺激を受けることとなる」とクルーグマン氏の見解を支持する。

 しかし、ヘリテージ財団のデレク・シザーズ研究員はクルーグマン氏の考えを単に短期的な解決案だとし、「長期的に見て、基軸通貨とするドルの役割は米国・その他の国にとって極めて重要。ドルを人為的に下落させると却って米国経済に害を与える」と語る。またシザーズ氏は短期的に見れば、ドルの急激な変動は為替市場、商品先物市場、金(ゴールド)市場に乱高下をもたらし、インフレへの圧力が高まり、世界経済の回復を楽観する投資家の心理に打撃を与えてしまうので、米国輸出産業の競争力がいたずらに高まっても無意味ではないかと疑問を投げかけている。

(翻訳編集・張哲)


 (09/10/31 05:00)  





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